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NO.33

第23回国際心臓研究学会
日本部会総会報告

北海道大学大学院医学研究科 情報薬理学講座細胞薬理学分野
堀之内 孝広さん


町田 拓自さん

 平成18年12月1日から2日間、第23回国際心臓研究学会日本部会総会が、千葉県千葉市の幕張メッセに近接するホテルニューオータニ幕張で開催されました。本学会は、その名称からも推測されるように、心臓に主眼をおいた討論を行う国際的な学術集会で、日本国内からだけではなく、欧米からも、大勢の基礎研究者や臨床医などが参加し、多岐にわたる活発な議論が繰り広げられました。また、Nature、Scienceをはじめとする一流の国際学術誌に掲載された論文の知見が、招待講演やシンポジウムなどで、数多く紹介され、発表内容の質・量ともに、大変、充実した学会でした。

 さて、本学会の主要なテーマである心臓病は、日本人の成人病死亡割合において、悪性新生物に次ぐ、第2位の死亡率を示しています。そのため、本学会では、心筋梗塞・狭心症・不整脈などの心臓病や、これらの疾病に深く関与している高血圧症・動脈硬化症といった病態に関する臨床的な知見が多数報告されました。また、このような疾患が、どのように発症し、進展するのか、そのメカニズムを解き明かす最先端の研究成果も報告されました。そして、心血管系(循環器系)疾患の予防法・治療法の現状や課題、展望について、生活習慣・薬物治療・遺伝子治療・再生医療といった多角的な切り口から、様々な検討がなされました。
  今回の学会で、私は、心臓に存在するβ-アドレナリン受容体を解析する新しい方法を発表いたしました。β-アドレナリン受容体は、薬物がくっつく(結合する)部位で、例えば、交感神経終末から遊離されたノルアドレナリンが、この受容体に結合すると、心臓の動きが活発になります。このような「心臓の動きが活発になる」といった反応は、心筋の酸素消費量や循環血流量を増加させる方向に働きますので、時として、心筋梗塞・狭心症などの心臓病や高血圧症の発症に繋がることがあります。その症状が重篤になった場合、心臓の動きを弱める目的で、ノルアドレナリンが受容体に結合するのを邪魔(阻害)するβ-アドレナリン受容体遮断薬(β-ブロッカー)が投薬されます。この遮断薬は、心臓の働きを抑制する一方、心臓のβ-アドレナリン受容体量を増加させることがあります。そのため、β-アドレナリン受容体遮断薬が、心臓のβ-アドレナリン受容体量に及ぼす影響については、薬物治療上、重大な関心が寄せられています。

 しかしながら、現在、広く使用されているβ-アドレナリン受容体量の測定方法では、多量の組織を必要とするため、手術時に得られる極少量の組織標本を解析することは到底、出来ませんでした。最近、私が確立した新規の実験方法は、縦、横、高さが、それぞれ1〜2o程度の組織標本があれば、心臓のβ-アドレナリン受容体量の解析が出来るという、非常に画期的な解析法です。今後、微小組織における受容体量の解析を可能にする本方法が、臨床の場においても、効果的に利用・応用されることを期待しています。

 末筆になりますが、本学会への参加にあたり、研究開発調査助成を賜りました財団法人北海道心臓協会に心より厚く御礼申し上げます。


  
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