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第27回日本高血圧学会総会報告
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旭川医科大学医学部看護学科看護学講座
神成 陽子さん
平成16年10月7日より3日間、栃木県宇都宮市で第27回日本高血圧学会総会が開催されました。本学会では高血圧に関する基礎医学、臨床医学の研究発表をはじめ、日本独自の高血圧ガイドラインJSH2000の改訂版であるJSH2004の概要報告や、一般市民を対象とした「高血圧の予防と克服に向けて」というテーマの公開講座が行われました。
日本の高血圧人口は3千数百万人と言われています。高血圧を起因にさまざまな循環器疾患が引き起こされることから考えますと、「治療すること」だけではなく「予防すること」がより重要になります。その一方、最近の新聞やテレビでは、生活習慣病の若年化が進んでいるニュースが取り上げられるようになりました。「健康日本21」により国の政策として取り組まれているように、生活習慣病を早い段階から予防していくことが現状の課題となっております。
私は本学会に設けられているコメディカルセッションで、「医学部学生における生活習慣病リスクファクターの推移」をテーマとして発表させていただきました。この研究では、いくつかの傾向がわかりました。まず医学生の健康診断データを入学時から6年時まで経年的に追ってみたところ、血圧値をはじめ、体重、BMI、体脂肪率は年々増加していました。大学入学後、将来の医療者を目指し医学の専門的知識を学んでゆく中で、食事や運動などの生活習慣を整えることは、学年の進行に伴い困難になっている面もあると、この結果から推測されます。
次に血圧値に関して、6年時に正常高値血圧以上を示していた群と、至適血圧および正常血圧範囲内であった群に分け、入学時までさかのぼり比較を行いました。すると入学時から正常高値血圧以上を示している割合は、前者の方が多いとわかりました。これは6年時に血圧が高めの場合、大学入学の時点でその傾向があるということ、つまり大学に入学する頃には、すでに生活習慣病の予兆が発現している可能性があることを示しています。大学入学以降はもちろんのこと、生活習慣病を予防するためには、大学入学前の中学・高校時代から、何らかの取り組みが必要であると考えられます。
また5年前と近年の医学生の入学時健康診断データの比較では、血圧値をはじめ、体重、BMI、体脂肪率はいずれも近年の方が増加していました。特に血圧値に関しては、正常高値血圧以上を示す割合も多く、医学部学生における生活習慣病リスクファクターは増加している傾向にあると考えられます。
最後に、将来医療に携わる学生の方々が、必ずしも毎年健康診断を受けていないということもわかりました。生活習慣病を予防するには、まず自分自身の健康状態に関心をもつことが大切です。医療者の望ましい姿は、自分自身が患者様のよいモデルとなることといっても過言ではありません。とは言うものの、本学会に参加し、私自身の生活習慣を改めなければと痛感させられたのも事実です。今回の経験を今後の研究に活かし、医学部の学生の皆さんの生活習慣の改善、生活習慣病の予防に少しでも役立てられればと思います。
このたび本学会への参加にあたり研究開発調査助成を賜りました財団法人北海道心臓協会に心より感謝申し上げます。