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第31回日本集中治療医学会学術集会報告
(1−1)
北海道大学病院 心臓血管外科ナースステーション
三宅 隆仁さん
この度、(財)北海道心臓協会の研究開発調査助成を受け、第31回日本集中治療医学会学術集会に参加させていただきました。学会は平成16年3月4日〜6日の3日間、福岡の福岡国際会議場をメイン会場として行われました。発表のテーマは「民間航空機を利用した補助人工心臓装着患者の搬送事例の報告」で、看護師が行なったことを中心に発表しました。
私は現在、北海道大学病院の心臓・血管外科病棟に勤務しています。当科では、主に狭心症や大動脈瘤といった病気の患者様に対して手術前と手術後の看護を行っていますが、なかには重い病気で心臓移植を待機されている患者様もおります。心臓移植は、心臓移植実施施設でのみ行われ、現在その施設は徐々に増えているものの、いまだ北海道にはなく、道民が国内で心臓移植を受けるためには本州か九州まで行かなくてはなりません。そのため、心臓移植を受けられる患者様やその家族には高額な治療費の他、移植実施施設までの交通費や家族のそこでの滞在費など金銭的な負担が生じてしまいます。また、交通手段についても大きな問題となります。補助人工心臓というものを装着した患者様を、より早く、より安全に搬送するためには航空機を利用することが良いのですが、航空機をチャーターするには数百万円という金額がかかります。そこで、今回は金銭面の負担を軽減するため、民間航空機を利用することとなりました。
あまり前例のないことでしたので、当科入院時よりとまどうことも多くありましたが、そのなかで、入院中看護師が主に行なったことは、リハビリテーション、搬送時の必要物品の準備、患者様や家族の相談役となることの3点でした。特にリハビリテーションについては、理学療法士等の他部門の方々とも連携をとり、入院時寝たきりだった患者様を自分の力で車イスへ移動できるという当初の目標をすぐに達成でき、最終的には10m程度の歩行ができるようになりました。
心臓移植実施施設までの搬送は、医師3名と看護師1名で行ないました。搬送中の看護師の主な仕事は、患者様の異常の早期発見とともに、ご家族への配慮ということも重要だと感じました。医療者と患者様は、空港の関係者に先導していただき、スムーズに空港内待機場所や航空機に搬送することができましたが、ご家族の方は通常の搭乗手続きが必要なため、患者様と別行動になることが多く、そのため、看護師はご家族の方が待機場所などを迷わぬよう気を配る必要がありました。そして、大きな問題もなく、無事心臓移植実施施設まで搬送することができました。
学会では、集中治療室における看護の他、その地域の特性に合わせた災害対策についてなど最先端の情報を知ることができ、非常に学ぶことが多くありました。今回の経験や学びを生かし、今後よりよい看護を提供していきたいと思います。また、今回の貴重な機会をいただきました(財)北海道心臓協会に感謝いたします。

