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NO.24

日本家族看護学会第10回学術集会に参加して
(1−1)

北海道大学病院循環器科ナースステーション
櫻井 奈緒子さん

 この度、(財)北海道心臓協会の研究開発調査助成を受け、日本家族看護学会第10回学術集会に参加させていただきました。学会は、四国の高知市文化プラザ「かるぽーと」で2003年9月27、28日の2日間行われました。

 私は現在、北海道大学病院の循環器科病棟に勤務しています。当科では、心筋症の患者様の中に根治的な治療は心臓移植しかないと告知される方がいらっしゃいます。心臓移植を告知されたときのショックは計り知れないものがあります。病状の変化を危惧しての、長い移植待機の期間は、患者様とそれを支えるご家族にも膨大なエネルギーが必要といえます。

 その様な患者様とご家族へ、循環器科の看護師として十分な看護ができているのか疑問を持ちました。そこで、ご家族の方の心理状況について知り、ご家族が必要とする時期に必要な情報の整理ができ、患者様の身体状況の変化と家族が受容するまでの時間を支えることが大切な看護であると考えました。その内容を「心臓移植を告知された家族の心理状況から考える看護の課題」という演題で、示説にて発表を行いました。

 限られた移植実施施設で、経済的負担も大きく、期待と不安を持ちながら、心臓移植を待機する患者様とご家族の現状を知っていただくことが出来たという実感が得られました。また、参加会員より、移植コーディネーターの役割について意見をいただきました。当院では、肝臓移植においては、看護師が移植コーディネーターとして機能していますが、心臓移植コーディネーターはいません。精神科医がカウンセリングを行い、患者様を診ている状況です。このような現状に対し、コーディネートとカウンセリングは別の役割であり、看護師がその役割を果たしていける可能性について示唆をいただき、専門職としての意識を改めました。

 家族看護学会への参加は初めてでしたが、参加会員がどのように家族看護を実践しているのか興味深く聞き、参考になりました。数多くの発表の中でも、緊急性の高いICUで、早い時期にご家族への介入が必要と査定し、家族の方が目標を持って看護に参加できた例や、ご家族一人一人を看護の対象として看て、ケアの方法を変えていった事例、訪問看護において患者様と家族それぞれの希望に近づけながらの「看取りへの看護」が印象的でした。

 本学会の参加会員は、家族看護を学び、手段として看護実践に生かしていました。理論に則って研究、看護実践があるのではなく、理論は看護実践を行う中で再構築されるものであることを今更ながら知る機会となりました。また、時々患者様のご家族に対し、はじめから「家族は患者を支える存在」と期待してみている自分の視点に気がつかされました。 私自身が大切に考えている、適切な時期で面談を取ること、患者様や家族の思いを繰り返し確認していく過程は、意思決定を支える大切な看護であると再認識することもできました。

 今回学んだことを生かして、より患者様とご家族の皆様に向き合った看護を、臨床で学び続けていきたいと思います。また、今回の貴重な機会をいただきました(財)北海道心臓協会に感謝いたします。


  
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