NO.22 |
第20回日本心電学会学術集会報告
(1−1)
大山 徳子さん
この度、(財)北海道心臓協会の研究開発調査助成を受け、第20回日本心電学会学術集会に出席させていただきました。学会は日本医科大学内科学教授岸田先生の会長の下、「Electrocardiology Renaissance-再発見から新たな展開へ」をテーマに平成15年9月8、9日の2日間、東京国際フォーラムで行われました。本学会では不整脈疾患及びその治療薬に関する研究発表に対し、活発な討論が行われていました。
私は難治性不整脈のV群治療薬であるアミオダロンによる肺合併症のHigh Resolution CT (HRCT)を用いた評価に関する前向き研究の発表を行いました。アミオダロン肺の画像診断、特に仰臥位と腹臥位のHRCTの組み合わせによる評価法に関しては一定の見解が得られておりません。アミオダロンによる肺合併症は時として致死的になることがあり、早期診断が重要になります。また、本剤は難治性不整脈の最後の手段として用いられており、簡単には服薬を中止出来ないという背景もあるため、正確な評価が必要となります。
間質性肺炎の活動性の指標として広く用いられている血液生化学データのKL−6や呼吸機能検査の%DLcoは、変動が大きく客観性に欠けるのに対し、仰臥位・腹臥位HRCTは再現性に優れ、他指標値の大きな変動がみられた症例でも、確実に間質性肺炎を否定することができ、肺病変診断のgold standardになりうるという結論を報告いたしました。従来のCT所見報告では肺実質に沈着したアミオダロンによる高濃度域の検出や、線維化にまで至った高度な肺野病変が主体でしたが、今回の前向き研究では不可逆的な線維化に至る前の、胸部写真ではdetectできない微細な肺野病変の段階での検出が可能でした。加えて、通常の仰臥位CTで背側胸膜下にしばしば認められる肺野濃度上昇域(重力効果とよばれる、肺実質の圧排による虚脱。正常でもみられる所見で病変ではない)と初期の間質性肺炎との鑑別のために、腹臥位CTの追加撮像が有用であるという放射線科からの提示もさせて頂きました。
放射線科医としての立場からの発表に対し、実際に患者さんを見ておられる循環器の先生方から様々な意見と助言を得ることが出来、非常に貴重な経験になったと考えております。また同時開催の第51回日本心臓病学会にも参加し、放射線科医として循環器の先生方とは違った角度から循環器疾患を勉強させて頂きました。これらの経験を今後の診療・研究に活かしていきたいと思います。
最後に本学会参加に当たり、助成をしていただきました北海道心臓協会に対し心より厚く御礼申し上げます。