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NO.19

第39回日本小児循環器学会報告
(1−1)

北海道大学大学院医学研究科病態制御学専攻生殖発達医学講座小児発達医学分野
石川 友一

 このたび、(財)北海道心臓協会の研究開発調査助成を受け、第39回日本小児循環器学会に参加させていただきました。学会は平成15年7月16日から18日の3日間、神戸国際会議場にて開催されました。

 この学会は日本中の小児循環器内科医と小児循環器外科医が参加する比較的大きな学会です。そのため内容も多岐に渡り、先天性心疾患から不整脈・川崎病・心筋症など様々です。これらの疾患に対し診断・治療・心機能・看護等のさまざまな側面からたくさんの発表や講演があり、日常では得難い多くの新しい知識を得ることができました。

 私は北海道大学医学部小児科循環器グループに所属しており、主に大学病院での診療に従事しています。患者さんは先天性心疾患が中心で、心エコー・心臓カテーテルによる診断や血行動態の評価、カテーテル治療、心臓血管外科での手術の前後の患者さんの管理などを行っています。当グループだけで年間約200人の患者さんが入院され、そのうち約130人が心臓カテーテル検査を受けられます。このようにたくさんの患者さんの診療に当たる一方で、得られた検査結果をもとに当グループではいろいろな研究も行っています。

 先天性心疾患は軽症なものまで含めるとおおよそ100人に1人の割合で発症するとされています。心臓の一部に小さい穴があいている比較的軽い病気から、二つあるはずの心室が一つしかないような大きな病気まで様々です。治療が必要な患者さんには手術やカテーテル治療をおこない血液の流れをなるべく正常な状態に戻す努力がなされます。このように治療法が進歩し多くの患者さんが助かるようになってきたのはここ数十年の話で、現在は治療後成人に達した方たちの合併症対策も我々の重要な仕事です。

 例えば大動脈縮窄症という病気があります。これは生まれつき下行大動脈が一部分で狭くなっており、重症だと下半身に血流が十分流れず新生児期にショック状態になることもある病気です。一般的に手術で狭い部分を切り取って再度つなぎあわせる手術が行われます。手術の成績は安定しており狭いところは通常の径とはいかないまでも十分広くすることができます。しかし、手術から時間がたち成人となった後で高血圧や冠動脈疾患を高率に発症します。従来その原因としていろいろな説が唱えられてきました。我々は患児たちの大動脈における圧反射が老人のように早期に返ってきていることに着目し、これが心筋虚血の誘因になることを発表しました。発表後の討論では、大変面白い仕事なので今後もさらに詳しく研究を進めてほしいとのコメントをいただきました。また、その他にも当グループとして2演題の発表を行い貴重な意見を聞くことができこれからの研究におおいに役立つと思います。

 最後になりますが、今後も今回の学会で学んだことを生かし皆様のお役にたてるようがんばっていきたいと思います。ありがとうございました。


  
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