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NO.17

第3回日本心血管カテーテル治療学会報告
(1−1)

北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学
大山 尚貢

 この度、(財)北海道心臓協会の研究開発調査助成を受け、第3回日本心血管カテーテル治療学会に出席させていただきました。学会は平成15年7月31日から8月2日の3日間、仙台の仙台国際センターで行われました。

 本学会ではカテーテルを用いた血管内治療、特に冠動脈を主な対象とした研究発表が行われると同時に、実際に第一線で活躍されている循環器内科医によるライブデモンストレーションも開催されました。

 私は日常臨床で経験した症例報告に、実験の結果を加味した発表を行いました。冠動脈インターベンション(カテーテルを用いた治療)においては、90年代半ば以降、金属製のステントが登場し、革命的な進展を遂げましたが、それは同時にステント内再狭窄という大きな問題を残しました。現在ステント内再狭窄に対し、カッティングバルーンという特殊な風船を用いる方法が有望であるという報告が、国内外から多数なされておりますが、この手技に際しての側枝保護の方法に関しては一定の見解が得られておりません。

 カッティングバルーンは文字通り風船の表面に小さな刃が3枚ないし4枚接着された構造をもっており、側枝保護用のガイドワイヤーと刃との干渉を抑えることが重要だと考えました。そこで実験室で血管を模したチューブ内にステントを留置し、側枝に見立てた部位に親水性ポリマーコートされたガイドワイヤーを留置することにより、カッティングバルーン中に安全かつ有効な側枝保護ができるかどうかを検討しました。対照として親水性ポリマーコートされていないガイドワイヤーでも同様の実験を行いました。その結果、親水性ポリマーコートされたガイドワイヤーを用いた場合、カッティングバルーンの刃に対しポリマーが緩衝材の役割をすることがわかりました。その一方親水性ポリマーコートされていないガイドワイヤーを用いた場合、カッティングバルーンの刃に大きな損傷を与えてしまう可能性が示唆されました。

 そこで実際に保護すべき側枝をもつステント内再狭窄病変の治療の際に、側枝に親水性ポリマーコートされたガイドワイヤーを留置し、カッティングバルーンによる血管形成術を行いました。手技終了後に使用した道具を顕微鏡で詳細に検討した結果、実験で得られた結果通り、ポリマーが緩衝材として機能し、手術を安全に施行する一助となっていると考えられました。

 この私達の発表に対する討論から、様々な意見と助言を得ることが出来、非常に貴重な経験になったと考えております。

 最後にセミナー参加に当たり、助成をしていただきました北海道心臓協会に対し心より厚く御礼申し上げます。


  
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