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NO.14

第28回日本微小循環器学会報告 
(1−1)

旭川医大眼科学教室助手 長岡 泰司

 この度、(財)北海道心臓協会の研究開発調査助成を受け、第28回日本微小循環学会に出席させていただきました。学会は平成15年2月 13−14日の2日間、東京のグランドヒル市ヶ谷で行われました。

 この学会は、心臓や肺などの大きな血管ではなく、脳血管や心臓の冠血管などの小さい血管を対象にしています。今回私が我々の施設からはじめて参加したのですが、動物実験を中心とした基礎医学の専門家から、神経内科、消化器内科、歯科など多くの臨床の先生方も発表されていて、多くの分野にまたがる研究が多く、眼科の学会では学ぶことのできない貴重な知識を得ることができました。

 私は旭川医大眼科に勤務しており、現在は糖尿病外来と眼循環外来を担当しております。眼循環とは目のなかの血の流れであり、ここに異常が起こると(つまり目の血管がつまると)網膜動脈閉塞症や網膜静脈分枝閉塞症など、視力に重大な影響を与える目の病気になってしまいます。また、現在我が国における成人の失明原因の第1位である糖尿病網膜症も、網膜症が起こる前からすでに目の血のめぐりが悪化していると言われています。私も日常診療で多くの患者様の眼を見させていただいておりますが、糖尿病網膜症などの眼の病気は明らかに視力が低下する程病気が悪くなってしまうと、それから治療を開始してもなかなか元に戻らないことが多く、早期診断・早期治療の必要性を感じることが多いのです。そこで私は眼の血のめぐりを見ることで網膜症の発症を前もって予測できないかどうか検討しています。

 今回の学会では、「レーザードップラー眼底血流計を用いた細動脈レベルでの非侵襲的シェアストレス測定システム」と題して、網膜の血管でシェアストレスを測定する方法について発表しました。シェアストレスというのは血管の壁の内側になる血管内皮細胞にかかる力で、このシェアストレスの異常が糖尿病や動脈硬化など、さまざまな病気に関係していることが最近になってわかってきました。私は日常臨床でレーザードップラー眼底血流計という眼底カメラを改造した機械を用いて網膜の血液の流れ(血流)を評価しており、この機械を用いてなんとか眼の血管のシェアストレスを測定したいと考え、今回その測定システムを完成させ、それを今回の学会で発表しました。

 発表後の討論では、大変おもしろい仕事なので、今後の臨床応用を期待すると好意的なコメントを頂いた一方、これまでの動物実験から得られた結果をもっと参考にして結果を評価した方がよいとのコメントも微小循環の専門家から頂きました。このような貴重な意見を聞くことができ、これからの私の研究に大きく役立つと思います。今後は、眼の血管を用いて全身の細い血管における動脈硬化の程度を判定できるようにしたいと思っています。

 最後になりますが、今回の学会で学んだことを生かし、皆様のお役に立てるよう頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。


  
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