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NO.141

European Society of Cardiology(ESC) Congress 2025

北海道大学大学院医学研究院循環器内科学教室
大学院生 田村 俊文 氏

田村俊文氏

 2025年8月29日から9月1日にスペイン・マドリードで開催された「European Society of Cardiology(ESC) Congress 2025」に参加し、「Prognostic value of machine learning-based automated frailty rating in elderly patients with chronic heart failure」という演題で発表を行いました。本研究は、心不全患者におけるフレイル評価を、患者の歩行動画から人工知能(AI)の手法である機械学習を用いて自動的に行い、その全死亡や心不全入院への予後予測能を検証したものです。従来、フレイル評価は医療スタッフによる主観的判定に依存していましたが、本研究では、フレイル指標の一つであるClinical Frailty Scale(CFS)を用いて、歩行解析から抽出した多数の歩行指標を機械学習モデルに入力することで、自動的かつ客観的にCFSを推定するシステムを構築しました。その結果、循環器専門医が評価したCFSと極めて高い一致度を示し、専門医による診断と同等の精度を有していることが明らかになりました。さらに、17施設から多数の高齢心不全患者を登録した多施設共同研究により、この自動評価システムが長期予後の予測においても有用であることを確認できました。特に、AIによるフレイル評価は心不全入院や死亡といった臨床アウトカムを独立して予測しうることが示され、今後のリスク層別化や治療方針決定に資する可能性が高いと考えられます。

 発表後には、会場の多くの研究者から質問をいただき、特にAIを用いた高齢者診療の可能性や治療方針決定への応用に関する議論が活発に行われ、今後の研究課題を整理する上で大変有意義な機会となりました。また、学会全体を通じて、心不全診療における個別化医療、画像診断技術の進歩、AIの臨床応用、さらには新規薬剤に関する臨床試験の結果が多く報告されており、今後の臨床に直結する最新の知見を得ることができました。特に、心不全診療におけるAIや機械学習の導入に関心が高まっていることを強く感じ、本研究の意義を再認識いたしました。

 最後になりますが、今回のESC Congress 2025参加に際し、ご支援を賜りました一般財団法人北海道心臓協会の皆様に、この場を借りて心より御礼申し上げます。


  
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