この度、スペイン・マドリードにて2025年8月29日から4日間の日程で開催された欧州心臓病学会(European Society of Cardiology:ESC)学術集会に参加させていただきました。私は、「Acase of primary cardiac angiosarcoma mimicking minoxidil-related pericarditis」という演題を発表させて頂きました。
本演題はClinical Case Session(Oral)で採択され、ミノキシジル関連心膜炎に類似した心臓血管肉腫の症例で、若年者における再発性心膜炎において心臓悪性腫瘍を鑑別することの重要性を強調しています。心臓血管肉腫は、予後不良な稀な原発性心臓腫瘍です。臨床症状が非特異的で早期診断は困難な場合が多いですが、一部の症例では急性心膜炎として発症するとされています。また、ミノキシジルは男性型脱毛症の治療薬として用いられていますが、薬剤性心膜炎を誘発することが報告されています。本症例は23歳男性で、吸気時に増悪する安静時胸痛を主訴に救急受診され、急性心膜炎の診断で緊急入院しました。ミノキシジル内服以外に特記すべき病歴がなく、薬剤性心膜炎の疑いとして加療されていました。しかし、ミノキシジルの内服中止後も再発性心膜炎を呈したため、精査のため入院しました。各種検査から心臓悪性腫瘍が疑われましたが、悪性リンパ腫や悪性心膜中皮腫であれば化学療法、心臓血管肉腫であれば外科的切除術など腫瘍の診断によって治療方針が異なるため、生検目的での腫瘍部分切除術を行いました。病理組織検査で心臓血管肉腫の診断に至り、集学的治療を施行し、退院することができました。