一般財団法人 北海道心臓協会

トップページ
すこやかハート
トピックス
講演
「○○○」といわれたら
循環器疾患の危険因子
心臓・血管病Q&A
セミナー参加報告
心血管病の治療最前線
心臓・血管病の危険因子
循環器疾患診断法・最近の進歩
ストレスと循環器
血管とその病気
運動と健康
心臓・血管病と闘う人たち
心臓・血管病予防の知識
医食同源
北海道心臓協会編集委員
入会のお願いとご案内
賛助会員の皆様
フリーイラスト集
「すこやかハート」100号記念
心臓協会20年間のあゆみ
事業計画・予算と事業報告・決算
リンク
お問合せ・健康相談はこちら
道新オーロラネットへ戻る
NO.139

第55回日本心臓血管外科学会学術総会

札幌医科大学外科学講座心臓血管外科学分野
作業療法士 北野 温大 氏

北野温大氏

 2025年2月20日から3日間にわたり第55回日本心臓血管外科学会学術総会が開催されました。

 本学会は全国の心臓血管外科医、心臓血管外科を専門とする看護師、理学療法士、作業療法士、臨床工学技士が一堂に会する年一回の大規模な学術総会です。私は「心臓血管外科手術患者における術後せん妄-多角的評価を用いた検討-」という内容で口述発表を行って参りました。

 術後せん妄とは、手術後に起こる意識・注意・知覚の障害であり、多くの有害事象に繋がる周術期合併症であると言われております。心大血管手術において特に発症率が高いと言われており、臨床における課題となっております。術後せん妄発症はリスク因子が多岐にわたり、発症の予測・予防が困難であることから、術後の早期発見・介入が大切であると考えております。しかしながら、実際の臨床において簡便なせん妄評価のみでは、見落としが生じていると感じる場面が多くありました。そこで本研究ではCAM-ICU(Confusion Assessment Method for the Intensive Care Unit)とNEECHAM(混乱・錯乱スケール)の2評価を使用し、術後せん妄の見落としを最小限にし、臨床現場でも使用できる評価方法について検討しました。

 その結果、名義尺度であるCAM-ICUは評価が簡便かつ、特異度が高いことがわかりました。一方で間隔尺度であるNEECHAMは感度が高いことがわかりました。理由としては、NEECHAMは間隔評価であるため、CAM-ICUにて評価が困難な中間層の患者(せん妄の症状は認めないが危険性のある患者・軽度、発生初期の混乱を有する患者)の評価が可能であることが考えられます。

 以上より、CAM-ICUにて陰性であった患者さんに対してはNEECHAMも併用することで、臨床で時間をかけることなく術後せん妄の見落としを減らすことができると考えられます。

 末筆ではございますが、本学会への参加にあたり研究開発調査助成を賜りました一般財団法人北海道心臓協会に心より厚くお礼申し上げます。


  
(一財)北海道心臓協会 〒060−0004 札幌市中央区北4条西4丁目 (株)伊藤組内 TEL 011-241-9766
(C)Hokkaido Heart Association. supported by Doshin Access Co., Ltd.