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NO.132

第60回日本小児循環器学会・学術集会

北海道大学大学院医学研究院小児科学教室
大学院生 畑 明日香氏

 第60回日本小児循環器学会総会・学術集会は2024年7月11日から13日の3日間、福岡県国際会議場で開催されました。

 本学会は先天性心疾患および小児の不整脈、心筋症、川崎病などについて全国の小児科医、心臓血管外科医、看護師、コメディカルが一堂に会す、年に1回の大規模な学術集会です。今回はアメリカからも講師を招請し、国際学会であるJCK Asian Pacific Heart Forum 2024も併催され、コロナ以前の開催形式を完全に取り戻した会となりました。

 今回は「Innovation and Change for Sustainable Pediatric Cardiology〜誰1人取り残さない小児循環器学」とのテーマで久留米大学医学部小児科の須田憲治教授を大会長として開催されました。先天性心疾患について小児のみならず、胎児期や成人患者においても連続性を持ち、その将来を見据えて診療することの重要性を再確認する企画が多数開催されました。

 例えば、昨年度から北海道大学が実施施設と認定された、経皮的肺動脈弁留置術(TPVI)に関するシンポジウムが開催されました。TPVIはカテーテルを使用して肺動脈弁の内側に新しい弁を置換する技術で、主にファロー四徴症という先天性心疾患において、成人後に肺動脈弁閉鎖不全症が問題になる患者さんへ施行することが想定されています。成人期では心疾患以外の生活習慣病や心不全などの合併症で手術のリスクが高くなる患者さんもいるため、侵襲の少ないTPVIでの治療を選択肢に加えることでより多くの患者さんの治療ができることが期待されています。このような成人後の管理のシンポジウムが多数開催され、活発な議論が行われていました。また、医師自身のsustainabilityに関するシンポジウムも開催され、北海道大学小児科武田准教授が座長、同永井助教がシンポジストを務め、働き方改革に関しても非常に活発な議論が行われました。

 当院小児科でも患者さんの将来を見据えた先天性心疾患の診療を心がけております。今回私が一般口演で発表させていただいた、「Fontan術後遠隔期左肺動脈狭窄に対する治療戦略」は使える心室が一つしかない先天性心疾患(単心室症)の患者さんに行うFontan手術において、Fontan手術完了後に、それぞれの体格による左肺動脈の必要径を求めた研究になります。本研究により、患者さんの体格の成長を視野に入れた治療プランを提供できるようになり、術後遠隔期の左肺動脈狭窄症やそれに伴う合併症の減少に寄与できるようになると考えています。

 最後になりますが、本学会参加に当たり助成をしていただきました北海道心臓協会に心より厚く御礼申し上げます。


  
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