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NO.133

第30回日本心臓リハビリテーション学会学術集会

札幌医科大学附属病院
理学療法士 山埜 光太郎氏

 2024年7月13日から7月14日の2日間の日程で第30回日本心臓リハビリテーション学会学術集会が兵庫県神戸市で開催されました。会場には立ち見が出るほどの参加者で賑わい、活気溢れる学会となりました。

 私は、「AWGS基準の改訂が高齢心不全患者のサルコペニア診断能と予後予測能へ及ぼす影響」というテーマで口述発表を行なって参りました。以下にその概要についてお示しいたします。

 サルコペニアは加齢に伴う全身の骨格筋量や筋力、身体機能の低下を特徴とした症候群であり、健康寿命や生命予後の悪化と密接に関連するため、重要な治療対象です。AWGS(Asia working group for sarcopenia)は、アジア人におけるサルコペニア診断基準を2014年に提唱し、2020年に改訂しました。主な改訂として、握力や歩行速度のカットオフ値を基準緩和したこと、身体機能評価に5回椅子立ち上がりテストやSPPB(Short physical performance battery)を利用可能としたこと、更には骨格筋量を身長で補正する方法の代替案としてBMIで補正する方法を推奨しました。地域在住高齢者ではこれらの基準改訂による予後予測能の有効性が示されましたが、心不全患者で検証した例はありませんでした。今回、当院に入院した高齢心不全患者534例に対し、AWGS基準改訂前や改定後に基づいて分類し、診断能や全死亡に対する予後予測能を比較検証しました。

 その結果、AWGS改訂後(身長で補正した骨格筋量と筋力や身体機能で診断した場合)では良好な予後予測能を保ちつつ、より多くのサルコペニア併存心不全患者を検出可能となったことがわかりました。一方で、BMIで補正した骨格筋量評価を含むAWGS改訂後の基準では、予後予測能は低下し、心不全患者では適さないことがわかりました。

 以上より、AWGSの基準改訂(身長補正による骨格筋量と筋力や身体機能で診断)によって、予後不良なサルコペニア併存心不全患者をより多く検出することが可能であり、早期治療に結びつけられると考えられます。

 末筆ではありますが、本学会への参加にあたり研究開発調査助成を賜りました一般財団法人北海道心臓協会に心より厚く御礼申し上げます。


  
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