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第50回日本放射線技術学会秋季学術大会
JR札幌病院 放射線技師
菊田 俊氏
令和4年10月7日から3日間にわたり、第50回日本放射線技術学会秋季学術大会が開催されました。
私は「心筋MRIにおけるKeyhole Imagingを用いた自由呼吸下Black-Blood T2強調STIRの有用性」という「技」をテーマとした演題を発表しました。
心筋MRIはそのコントラストの高さから心筋の性状評価に用いられます。造影剤を用いた遅延造影を行うことで虚血や心筋症による心筋バイアビリティ評価が可能です。また、造影前にBlack-Blood T2強調STIR(以下STIR)を撮像することで心筋浮腫を捉えることができます。遅延造影とSTIRを組み合わせて診断することで、心筋梗塞の発症時期や心筋ダメージの評価、心筋炎の診断、心サルコイドーシスの活動性を評価できるといわれており、STIRは心臓MRIにおいて主要なシーケンスの一つです。
このSTIRは呼吸や心拍による心臓の動きを抑制するために、心電図に同期させながら息を止めて撮像します。心不全による呼吸苦や不整脈による心電同期不良で撮像時間が延長して息が止めきれずに画像がブレてしまい診断ができなくなることがあります。対策として、当院ではシングルショット法という超高速撮像法でのSTIRを追加しています。この手法は息止め不良による胸郭の動きに強い反面、コントラストの低下や画像のボケが目立つ画像となります。心筋症の精査など、非常に淡いコントラストを描出しなければいけない場合では病変を描出することができません。そこで息止めができない場合でもコントラストが良好な画像を取得する手法としてKeyhole Imagingという短時間撮像法を使用した自由呼吸下でのSTIRを考案しました。息止めによるSTIRとKeyhole Imagingを用いた自由呼吸下によるSTIRを撮像し、両者の画像のブレの度合いを解析したところ、有意差はなく自由呼吸下でも画像のブレを抑えた画像を取得することが可能だということがわかりました。
最後に、この度の学会参加にあたり、研究開発調査助成を賜りました一般財団法人北海道心臓協会に心より厚く御礼申し上げます。