NO.121 |
第19回日本循環器看護学会学術集会
札幌医科大学大学院保健医療学研究科看護学専攻
大学院生 中武 延氏
2022年10月1日から2日間にわたり大阪府で開催されました第19回日本循環器看護学会学術集会へ参加しました。
私は「心不全患者の口腔ケアに関する研究動向」という演題名で、文献レビューを口演発表しました。
心不全患者は療養中に加齢や原疾患の進行だけでなく、塩分・水分過多、怠薬、感染などの様々な増悪要因を契機に、急性増悪を引き起こし、再入院となる経過をたどることがあります。心不全患者が療養中に急性増悪を起こさないために自己管理しなければならないことは、血圧測定や体重測定、内服・塩分・水分管理など多岐にわたります。今回、感染予防、中でも歯磨きや歯科受診といった口腔衛生を維持するための自己管理行動である口腔保健行動に着目しました。
【口腔衛生に対する医療者による実践】では、看護師や歯科医、歯科衛生士による介入により、口腔内所見が改善したことやQOL、生存期間が有意に長くなっていたという報告がありました。また、心不全のリスク要因である糖尿病の患者を対象とした研究では、歯科衛生士による歯科保健指導後に良好な口腔保健行動が獲得できていたり、看護師が行うアセスメントツールの開発・作成が行われていました。
【口腔不衛生と循環器疾患】では、感染性心内膜炎の発症に口腔環境が関与していることや心血管疾患のリスク要因である高血圧や糖尿病、脂質異常症などの発症率は歯磨き頻度が少ないほど、高いと報告されていました。
【口腔不衛生と肺炎】では、口腔環境と肺炎発症との関連が示唆されており、医療者による口腔ケアにより、発症率が低下したという報告も見受けられました。
最後に【循環器病棟看護師の認識】では、循環器病棟看護師の歯周炎に関する知識が十分ではないことや口腔ケアに対する意識が低く、自立度の高い患者に対する口腔ケアの実践が不十分であることが明らかにされていました。
最後になりますが、本学会への参加にあたり研究開発調査助成を賜りました一般財団法人北海道心臓協会に厚く御礼申し上げます。