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NO.119

第42回日本核医学技術学会 総会学術大会

北海道循環器病院 診療放射線科
斉藤 利典氏

門坂崇秀氏

 第42回日本核医学技術学会総会学術大会が2022年9月9日から3日間の日程で国立京都国際会館にて開催されました。

 私は「MUS法を用いた心外集積除去による下壁診断能の検討」という演題で発表しました。核医学検査というのは放射性医薬品を体内に投与し、それらが体内の各種臓器や組織に集積する様子を画像化する検査であり、心臓核医学分野では心筋血流を評価するためにTc(テクネチウム)という核種を用いた製剤を使用して検査を行い、主に心筋の虚血や生存性などの評価を行います。しかし従来より、胃や肝臓や腸管といった心臓外へのTc核種の集積(以下、心外集積)により、それら臓器の近接する心臓にアーチファクトとして影響し、画質低下を招くことで主に心筋下壁領域の診断が困難になることが問題となっておりました。対策としては撮像前の飲水や撮像体位などの工夫によりアーチファクトを軽減させることが挙げられますが、検査時に充分な対策を講じることが難しい場合も少なくありません。

 近年、画像再構成の段階で心外集積の影響を除去する方法としてMasking process on Unsmoothed images(MUS法)が開発されました。この方法を用いることで心筋への心外集積の影響を軽減できることが期待されています。2022年4月に開催された日本放射線技術学会総会学術大会ではMUS法の技術的有用性の検証として、ファントムを用いた評価を行い、発表を行ってきました。本学会では臨床的有用性の検証として、心筋下壁の診断能の評価を行いました。本研究ではカテーテル検査もしくは冠動脈CTにて右冠動脈に有意狭窄を有する患者、有意狭窄の無い患者74名を対象に、当院での従来の画像再構成法とMUS法での2種類の画像を作成し、下壁の虚血評価を視覚的および虚血の程度を数値化するスコアリングの2つの方法で評価して比較しました。

 結果としてはMUS法において視覚的評価では特異度が70.4%から90.9%、正診率が67.6%から83.8%となり、従来法より有意に向上しました。(P<0.05)診断能を評価するためにROC解析を行ったところ、AUCは従来法よりもMUS法が有意に高いという結果でした。(P<0.05)また、スコアリングの評価では有意差は見られなかったものの、MUS法のほうが良い傾向にあるという結果でした。

 最後になりますが、本学会への参加にあたり研究開発調査助成を賜りました一般財団法人北海道心臓協会に心より厚く御礼申し上げます。


  
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