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NO.118

ESC Congress 2022 欧州心臓病学会学術集会

札幌医科大学大学院医学研究科 大学院生
理学療法士 沼澤 瞭氏

 2022年8月26日から3日間にわたりバルセロナでESC Congress(欧州心臓病学会学術集会)2022が開催されました。ESC Congressは循環器領域において世界最大規模の学術集会の一つであり、今回は2019年以来の現地開催となりました。日本からの演題採択数は全体の5位でアジアでは最多とのことであり、会場では日本人の先生も多く目にすることができました。

 私の研究課題は「心不全患者におけるサルコペニアと骨粗鬆症の併存率と身体機能への影響」というものでした。本研究では入院心不全患者の20%がサルコペニア(筋肉量と筋力が低下する症候群)と骨粗鬆症を併存し、両者の併存は生活機能低下の独立した関連因子であるということを明らかにしました。サルコペニアを併存する入院心不全患者のおよそ二人に一人が骨粗鬆症を併存し、サルコペニアを併存する症例では有意に骨密度が低値であり、両者を併存する症例では身体機能の低下がより顕著でありました。

 本研究のサルコペニアと骨粗鬆症の併存率は本邦における一般地域在住高齢者よりも高いことから、サルコペニアと骨粗鬆症の併存は単に加齢性というだけでなく、心不全の病態や臨床経過が深く関与することを示唆するものでありました。

 サルコペニアは心不全患者の健康寿命や生命予後に関連する重要な因子の一つです。それだけでなくサルコペニアを併存する症例では骨粗鬆症を有している可能性を考慮する必要があり、両者を併存する症例ではより身体機能や生活機能が低下している割合が高いことから運動療法の内容の再考などを含めた介入方法やケアプランの検討が必要であると考えております。

 末筆にはなりますが、本学会への参加にあたり研究開発調査助成を賜りました一般財団法人北海道心臓協会に心より厚く御礼申し上げます。


  
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