NO.114 |
第86回日本循環器学会学術集会
北海道大学大学院医学研究院
循環病態内科学教室
大学院生 門坂 崇秀氏
第86回日本循環器学会学術集会が2022年3月11日から3日間の日程で開催されました。昨今のCOVID-19の感染拡大を鑑みて、Web開催となり私もWeb形式で参加させていただきました。
私は今回の日本循環器学会学術集会で「Different prognostic impact of atrial fibrillation between younger and elder patients with implantable cardioverter-defibrillator」という演題を発表させていただきました。
植込み型除細動器(ICD)は一次予防、二次予防にかかわらず心臓突然死を予防することが知られていますが、近年ICD植込み患者で心房細動(AF)が死亡リスクを高めることが報告されました。
しかし、ICD植込み患者においてAFが全年齢層で同様に予後を悪化させるかどうかは不明であったため、今回我々は、年齢におけるAFが予後に与える影響を検討するために、2000年から2017年の間に一次予防または二次予防のためICD植込みを受けた連続416例を対象として、患者を中央値の64歳で2群に分け、全死亡または末期心不全という主要アウトカムに対するAFの影響を検討しました。
解析の結果、若年群では、主要アウトカムの累積発生率は非AF群と比較してAF患者で有意に増加しましたが(P=0.008)、高齢群では増加しませんでした(P=0.673)。
Cox回帰分析により交絡因子を調整した後、AFは若年群でのみ主要アウトカムの独立したリスクでありました(HR2.34,95%CI1.22-4.49;P=0.011)。
これらの年齢によるAFのアウトカムに与える影響の違いは、若年者では一般的に高齢者と比較して心拍数が早い傾向にあることが原因として考えられました。
本解析の結果から、ICD植込み患者のAF治療選択時には年齢を加味して方針を決定する必要があると考えました。
今回日本循環器学会学術集会で発表し全国の他施設の医師・研究者とディスカッションすることで研究を深め、今後の循環器診療の一助となる結果を発信できればと考えております。
末筆ではございますが、本学会の参加にあたり研究開発助成を賜りました一般財団法人北海道心臓協会に心より厚く御礼申し上げます。