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第23回 日本心臓リハビリテーション学会・学術集会
北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学
大学院生 南部 秀雄氏
2017年7月15日から2日間の日程で岐阜県で開催された第23回日本心臓リハビリテーション学会学術集会に参加いたしました。
今回の学術集会は「予防と治療の包括的心臓リハビリテーション」をメインテーマとし、医師や看護師、理学療法士、栄養士など様々な職種が参加し、活発な討議が行われておりました。
私は「左室駆出率が低下した心不全患者では高尿酸血症が運動耐容能低下と関連する」という演題を発表致しました。
心不全は予後不良の疾患として知られています。日本での心不全の大規模観察研究であるJCARECARD研究において、心不全患者での高尿酸血症の合併が死亡リスクを増加することが明らかとなり、心不全患者における高尿酸血症の合併に注目が集まっています。運動耐容能は心不全患者のQOLだけではなく、予後と密接に関連していることが知られていますが、左室駆出率が低下した心不全(Heart failure withreduced ejection fraction ; HFrEF)患者における高尿酸血症と運動耐容能の関連は明らかではありません。
今回、北海道大学病院で通院または入院治療を受けたHFrEF患者を対象とし、高尿酸血症と運動耐容能の関連について検討致しました。
JCARE-CARD研究から高尿酸血症を7.4mg/dL以上と定義し、高尿酸血症を合併した群では合併していない群と比較し、運動耐容能の指標である最大酸素摂取量(Peak VO2)が有意に低下していました。
Peak VO2を目的変数とした単変量解析では高尿酸血症は有意な負の相関を示し、多変量解析では高尿酸血症はPeak VO2の独立した規定因子であることが明らかとなりました。
この結果から、HFrEF患者における高尿酸血症は運動耐容能と関連することが明らかとなりました。
ポスターでの発表でしたが、多くの聴衆に参加いただきました。様々な視点から意見をいただき有意義な議論をすることができました。
空き時間には岐阜市内を散策し、織田信長ゆかりの名所や歴史的建造物を見ることができ、北海道とは違った文化に触れることができました。
今後は本研究を発展させ、心不全患者の高尿酸血症への治療介入により運動耐容能が改善するかどうか、高尿酸血症が運動耐容能を低下させるメカニズムを明らかにし、心不全の予後や運動耐容能の改善を目的とした新たなエビデンスの構築を目指し研究を進めて参ります。
最後になりましたが、本学会への参加にあたり研究開発調査助成を賜りました一般財団法人北海道心臓協会に心より厚く御礼申し上げます。