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第52回日本小児循環器学会 総会・学術集会
札幌医科大学小児科学講座 診療医
春日 亜衣氏
第52回日本小児循環器学会総会・学術集会は2016年7月16日から18日の3日間、東京都の東京ドームホテルで開催されました。
本学会は小児循環器、先天性心疾患領域では最も規模の大きい、小児循環器科医、心臓血管外科医が一堂に会する学会で、例年夏の暑い盛りに行われます。
今回は「生命(いのち)をみつめ、心を紡ぐ医療を求めて」とのテーマで日本医科大学の小川俊一教授を会長に開催され、私は「当院における先天性心疾患合併妊娠の経過」について発表させていただきました。
先天性心疾患患者の妊娠、出産はすでに一般的となっており、各種ガイドライン(日本循環器学会:心疾患患者の妊娠・出産の適応、管理に関するガイドライン(2010年改訂版)、成人先天性心疾患診療ガイドライン(2011年改訂版))も発表され臨床に利用されています。
長年にわたり先天性心疾患の診療に携わっている当院でも現在までの諸先輩方の努力により多くの先天性心疾患合併患者さんの妊娠・出産を経験しています。これをまとめ全国の施設と情報を共有することは今後の患者さんに有益な情報をもたらすと考えました。
2010〜2015年の6年間に妊娠・分娩管理を行った先天性心疾患症例は29名39分娩でした。疾患は心室中隔欠損が最も多く、ほかファロー四徴術後、心房中隔欠損、大血管転位術後、Ebstein奇形、大動脈二尖弁(生体弁置換後)、房室中隔欠損術後など多岐にわたりました。
妊娠時の主治医は当院小児科、心臓血管外科が主で、循環器内科、病院での経過観察からドロップアウトしていた患者さんもおられました。
母体の年齢は18〜42(中央値30)才、妊娠週数は36〜41(中央値39)週、出生児の体重は2196〜3610(中央値2976)gでした。39分娩のうち、経腟分娩が24回(和痛分娩3回)、帝王切開が15回、母体の心疾患を理由とした帝王切開は6回でした。
母体死亡、新生児死亡はなく、母体・新生児とも周産期合併症による長期の入院を要した症例はありませんでした。分娩後に感染性心内膜炎を発症し外科的治療を要した心室中隔欠損が1例ありました。
【まとめ】当院における先天性疾患患者の妊娠分娩管理は安全に行われ母児ともに予後は良好である。分娩様式は一般人口と比較し帝王切開が多い傾向があった。心室中隔欠損も感染性心内膜炎発症のリスクがあり十分に注意が必要である。
最後になりましたが、本学会への参加にあたり研究開発調査助成を賜りました一般財団法人北海道心臓協会に心より厚く御礼申し上げます。