NO.86 |
第81回日本循環器学会学術集会
札幌医科大学
循環器・腎臓・代謝内分泌内科学講座
大学院生 中田 圭氏
2017年3月17日から3月19日までの三日間の日程で第81回日本循環器学会学術集会が石川県金沢市において「次世代に次ぐ循環器病学」をテーマに、金沢大学循環器病態内科学山岸正和先生を大会長に開催され本学会は循環器系学術集会としては欧州心臓病学会、米国心臓病学会に次ぐ、世界最大規模の学会です。
本学会では「金沢宣言」として、循環器病の多くが生活習慣病に起因する動脈硬化を基盤に発症し、循環器病の発症を予防するための知識の普及や行動変容の啓発など社会的な対策が喫緊の課題と考えられます。
その中で脳卒中と循環器病の克服(ストップCVD)へ向けた多方面からの改革を実施していく方針が打ち出され、循環器病における予防の重要性を再認識し、生涯にわたる循環器病の発症予防ならびに健康寿命の延伸へ向けた活動を推進していくことが宣言されました。
今回、「The impact of heart failure overwhelmsincreased glycemic variability by sleep-disorderedbreathing.」という演題名で、「Sleep Apnea」のセッションにて英語口答での発表の機会を得て参加させて頂きました。
本研究は、睡眠呼吸障害が血糖変動に及ぼす影響を心不全の有無でどう異なるかを検討した研究です。睡眠呼吸障害(SDB)は糖尿病だけではなく、心不全などの心血管疾患とも関連し、SDBと耐糖能異常、心不全には相互関係があると考えられますが、その詳細は明らかにされておりませんでしたが、SDBと血糖変動との関連を連続グルコース・モニタリング(CGM)により評価し、その関連に及ぼす糖尿病や心不全の影響を明らかにするという研究です。
SDBは血糖変動を増大させ、この影響は糖尿病や心不全の存在により減弱すること、さらに持続陽圧換気療法(CPAP)によるSDB治療は非糖尿病患者において血糖変動を改善させるという知見を得ました。このことはSDB治療による血糖変動の安定化が、心血管イベント抑制をもたらす可能性が示唆されました。
英語での発表・質疑応答で非常に緊張しましたが、発表の際には多くの先生方から、現在の研究内容に不足している点について助言、質問を頂きました。本研究が金沢宣言にあるように、心血管イベントの抑制につながるものとなるよう、さらなる研究を重ねたいと感じました。
最後になりましたが、本学会への参加にあたり研究開発調査助成を賜りました一般財団法人北海道心臓協会に心より厚く御礼申し上げます。