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第80回日本循環器学会学術集会
手稲渓仁会病院 リハビリテーション部
理学療法士 岡田 悠氏
2016年3月18日から3月20日までの三日間の日程で第80回日本循環器学会学術集会が宮城県仙台市において開催されました。
本学会は循環器系学術集会としては欧州心臓病学会に次ぐ、世界最大規模の学会です。第80回目の今回は「日本の循環器病学の過去・現在・未来〜東日本大震災復興5周年〜」をテーマとして、国内外から著名な先生方をはじめ、看護師や理学療法士といったコメディカルスタッフも参加し、循環器研究に関する発表や、今後の循環器学の展望を見据えた議論が行われました。
また、東日本大震災と医療に関する多数の企画展示もあり、この展示には天皇皇后両陛下もご訪問され、医療関係者に対して多くの慰労のお言葉を頂いております。
今回、私は本学会で「TAVI術後の在院日数に影響を及ぼす因子の検討」という演題名でポスター発表に参加する機会を頂きました。
TAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)は、心臓の左心室と大動脈の間にある弁の動きが悪くなり、血液循環不良から、胸痛や失神、息切れといった症状を伴う大動脈弁狭窄症という病気に対して行われる最先端の治療方法です。
大動脈弁狭窄症に対する従来の手術は、開胸手術で人工弁に置き換える方法で行われていましたが、開胸手術は、高齢や合併症の危険性が高い方など3割程度の方が適応外とされ、治療が行えない方が多数いました。
そのような適応外の方にとって、新しい治療の可能性を開いたのがTAVIです。本研究の結果としては、術後の循環動態や合併症をコントロールし、早期から離床・歩行再開することが在院日数の短縮に繋がることを報告しました。
発表の際には多くの先生方から、様々な質問や現在の研究内容に不足している点について助言を頂きました。また、同様の研究を行っている先生方の報告も多数あり、今後の研究を進めるうえで大変参考になる学会でした。
先進医療であるTAVIはまだ症例数も少なく、短期成績については報告が上がってきていますが、未だ発展途上の分野です。今回の学会参加の経験を今後の研究や日常の治療に大いに役立て、患者様や医療発展のために微力ながら貢献出来るように今後も努力を続けたいと思います。
最後になりますが、本学会への参加にあたり研究開発調査助成を賜りました一般財団法人北海道心臓協会に心より厚く御礼を申し上げます。