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NO.77

第38回日本高血圧学会総会

旭川医科大学内科学講座
循環・呼吸・神経病態内科学分野 大学院生
丸山 啓介氏

 第38回日本高血圧学会総会が2015年10月9日から11日の日程で愛媛県松山市において開催されました。テーマは「今求められる高血圧治療と先端研究の融合」で、基礎研究から臨床研究まで高血圧に関わる幅広い演題が発表され、活発なディスカッションが行われていました。

 今回、私は当院における急性心筋梗塞や脳卒中などの心血管病発症に対する慢性腎臓病、左室肥大、そして栄養障害の影響に関して報告する機会を頂きました。慢性腎臓病、左室肥大は心血管病を発症する重要な危険因子であることが以前より知られていますが、近年それらに加えて栄養障害の重要性が明らかになっています。栄養障害、つまり「やせ」は加齢とともに増加し、さらに食事摂取量の不足や運動不足などにより増悪します。とくに透析患者さんでは「痩せすぎ」が死亡率や心血管病発症率を増加させることが明らかになっています。そこで今回、非透析患者において慢性腎臓病、左室肥大、そして栄養障害がどのように心血管病発症と関連するかを検討しました。

 結果ですが、現在までの報告のとおり慢性腎臓病、左室肥大をもつ患者さんは心血管病発症率が有意に高いことがわかりましたが、さらに栄養障害を呈する患者さんも心血管病発症率が有意に高いことがわかり、栄養障害は慢性腎臓病、左室肥大と同等の心血管病発症の規定因子であることがわかりました。また、それぞれは独立した危険因子であり、慢性腎臓病と左室肥大は、栄養障害との組み合わせによって相乗的に心血管病発症率を増加させることが明らかになりました。慢性腎臓病や左室肥大の抑制のみならず、栄養状態の改善も心血管病発症率を低下させる上で重要な課題であることが明らかになりました。

 また今回優秀演題に採択され、英語で発表する機会を得ました。初めての英語によるプレゼンテーションであったため苦労する事が多かったのですが、その一方で英語での発表の準備、質疑応答など大変勉強になりました。今後、海外の学会等で発表するためのステップアップとなる学会発表となりました。

 さて、今回学会が行われた愛媛県松山市ですが、瀬戸内海に面しており温暖な気候の中、学会に参加することができました。また、発表終了後に食べた瀬戸内海の美味しい食事、地ビール、そして地酒はすべての疲労を吹き飛ばす素晴らしいものでした。2年後の高血圧学会も再び松山市で行われる予定であり、また発表する機会を得られるよう日常診療から研究活動まで努力していきたいと思います。

 最後になりましたが、本学会の参加にあたり研究開発調査助成を賜りました財団法人北海道心臓協会に対し、厚くお礼申し上げます。

長谷部教授を囲んで(筆者は後列右から3人目)
長谷部教授を囲んで(筆者は後列右から3人目)

  
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