NO.76 |
第21回 日本心臓リハビリテーション学会 学術集会
北海道大学病院
循環器内科病棟看護師
林 由夏氏
2015年7月18日から19日に福岡県で開催された第21回日本心臓リハビリテーション学会学術集会に参加させていただきました。
今回の学術集会は「新たな予防医療の創造、そして、展開」をメインテーマに開催され、近年注目を浴びている心臓リハビリテーションの普及と向上を目指し、様々なシンポジウムやパネルディスカッション等が行われていました。
心臓リハビリテーションは運動だけではなく、自己管理を含めた患者教育や食事指導、カウンセリングなどを多職種で行う包括的なプログラムであり、医師や看護師、理学療法士、栄養士などの様々な専門職種が参加しており、大変興味深い発表が多くありました。
私は今回、当院で取り組んでいる「心臓リハビリテーションを行う外来心不全患者に対する病棟看護師の継続介入と効果」について発表しました。心不全の患者さんは退院後も長期にわたり自己管理が必要ですが、入院中に受けた生活の注意点を自宅でも実践し継続していくのはとても大変なことであると感じています。
また、実際に退院後に日常生活を初めてから直面する問題や不安を抱える患者さんも多くいます。そのため、退院後も継続して患者さんをサポートしていく体制が必要と言われています。
当院では入院加療を受けた患者さんが退院後も外来通院で心臓リハビリテーションを継続しており、病棟看護師も参加しています。私たちはこのリハビリテーションの機会を生かし、退院後の自己管理の実践状況や新たな問題点を確認しながら患者さんが上手に自己管理を続けていく事が出来るようアドバイスを行っています。
患者さんからは「些細な悩み事も相談出来て大変安心している。」「顔なじみの看護師がいるから話しやすい」などの声を頂いています。今回の発表ではこの取り組みによる再入院を予防する効果までは検討出来ていませんが、退院後の継続したサポートは自己管理が不十分で再入院となる患者さんを減らす効果があると言われています。
退院後のサポートは必要ですが、十分な体制が築かれていない現状がありますので、私たちは今回の学術集会での発表や他施設での取り組み内容を参考にしながらこの取り組みを継続し、より良いサポート体制を築いていきたいと考えています。
最後になりますが、本学会への参加にあたり研究開発調査助成を賜りました財団法人北海道心臓協会に心より厚く御礼申し上げます。