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第25回 日本心臓核医学会総会・学術大会
北海道大学大学院医学研究科
循環病態内科学分野 博士課程
相川 忠夫氏
第25回日本心臓核医学会総会・学術大会は、2015年6月26日から27日の2日間の日程で、東京コンベンションホールで開催されました。本学会は「心臓核医学からの発信情報を総括する」をテーマに、心臓核医学に関する最新の基礎研究やテクノロジー、臨床研究についての研究成果が多数発表されました。
私は今回、「絶食下F-18-FDG PET/CTで偶発的に左前下行枝領域心筋への局所集積を認めた無症候性心筋虚血の一例」について発表させて頂きました。
F-18-FDG PET/CT検査は、特に悪性腫瘍に関して病変の広がりや転移巣の検索、再発の有無の評価などを行うのに非常に有用な検査で、また虚血性心疾患における生存心筋の評価においても、同検査は保険適応となっております。正常心筋では主に脂肪酸を代謝することでエネルギーを産生しておりますが、虚血心筋においては糖代謝が盛んになるためにFDGの集積が亢進すると考えられています。今回は悪性腫瘍の経過観察目的に実施したF-18-FDG PET/CT検査で偶発的に冠動脈支配領域に一致した心筋にFDGの局所集積を認め、その所見から心精査を行って虚血性心疾患が見つかり、後日治療後にFDGの局所集積が消失したことを確認した症例について発表致しました。特に悪性腫瘍に関してはF-18-FDG PET/CT検査の保険適応拡大に伴い年々検査数が増加傾向にありますので、本例のように心筋への局所集積を認めた際には、虚血性心疾患を鑑別する必要があるということで、示唆に富む症例でした。
質疑応答や発表後には、同様の症例を経験したことのある先生などから貴重なご意見を頂き、大変有意義な経験ができました。本学会で得られた知見を今後の研究活動に役立て、少しでも循環器病学の研究発展に貢献できればと思います。
最後になりますが、本学会への参加にあたり研究開発調査助成を賜りました一般財団法人北海道心臓協会に心より厚く御礼申し上げます。