NO.73 |
欧州心臓病学会学術集会
札幌医科大学
循環器腎臓代謝内分泌内科学講座 大学院生
西沢慶太郎氏
2015年8月29日から9月2日までの5日間、私はイギリスのロンドンにて開催された欧州心臓病学会(ESC)主催の学術集会(ESC Congress 2015)に参加させていただきました。
このESC学術集会は、毎年世界中から約30,000人の参加者が集う循環器領域において世界最大規模の学術集会の一つであります。近年では米国心臓協会(AHA)主催のものよりも参加者が多く、演題の採択率も厳しくなっております。ですが、上級医の先生方の協力もあり私の演題が見事採択され、ポスター発表の機会を得ることができまして、はるばるロンドンまで行って参りました。
私にとって今回初めての国際学会への参加であったため、その全てが新鮮で驚きに満ちたものでした。まず、その学会初日には、会場の熱気に度肝を抜かされました。会場自体はとても広く端から端まで歩いて15分程度かかるのですが、その会場全体が沢山の人達で溢れかえっており、各セクションで活気に満ちた講演や発表がなされていました。とても興味深い講演ばかりだったのですが、翌日に発表を控えていたこともあり、初日は早々に会場を後にしました。
そして、二日目私の発表日がやって参りました。私は普段慢性腎不全と心筋梗塞との関係を調べており、今回その研究結果を発表させていただきました。ここで内容について少しだけ説明させていただきます。近年、心臓と腎臓の病気は互いに悪影響を及ぼし合うということが注目されており、「心腎連関」と呼ばれています。実際、慢性腎不全の患者さんにおいて、腎不全でない患者さんに比べ心筋梗塞を発症した場合にその梗塞領域が大きくなることが知られています。しかし、その詳しい機序については明らかにされていません。そのため私は主にラットを用いて心臓を保護する薬を使用するなどして、分子レベルでの機序解明を目指しています。今回その研究経過の一部をまとめ、発表させていただきました。
緊張しながらも内容を伝えようと必死で発表を行った結果、ベストポスター賞をいただくことができました。各分野で4人以上受賞されている賞ではありましたが、それでもこのように表彰していただけたのは大変有り難いことでした。勿論、発表に際し会場からは鋭いご指摘もあり、今後の研究の参考となるべく貴重な意見もいただくことができました。
3日目以降は肩の荷も降り、ゆったりとした気持で世界的な権威ある先生方の講演を聞くことができました。ここではカテーテル治療の最先端の研究結果の報告など、本当に目から鱗のような話を数多く聞くことができました。また、空き時間にはロンドン市内の観光もしました。バッキンガム宮殿やウェストミンスター寺院、ビッグベンなどの建造物を訪れることでロンドンの歴史や文化に触れることができました。さらには、「ロンドンで散髪する」ということも空き時間に行うことができました。さっぱりとしたロンドンのトレンドヘアで歴史的な街中を闊歩すると、とてつもない高揚感に包まれました(ただ、実際には発表後に散髪しているのですが・・・)。何はともあれ、全てが貴重な体験でした。
最後になりましたが、本学会への参加にあたり研究開発調査助成を受け賜りました一般財団法人北海道心臓協会に心より厚く御礼申し上げます。