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第26回日本循環器病予防セミナー
北海道大学大学院医学研究科
予防医学講座公衆衛生学分野 博士過程
森永 幸子氏
平成25年7月31日〜8月4日に福島県(ホテル福島グリーンパレス)にて開催された第26回日本循環器病予防セミナーに参加させていただきました。
第26回目の今回は「ライフステージに応じた循環器予防:エビデンスの構築と実践に向けて」をテーマに開催されました。
セミナーでは循環器の臨床、疫学に関して日本を代表するトップクラスの講師の先生方の講義を受講することができます。さらにこのセミナーの最大の特徴は、職種や専門の異なる参加者がグループに分かれ、4泊5日という長いようで短い期間中に寝食を共にし、循環器予防のための研究計画をゼロから作り上げ、発表するということです。
私たちのグループは、循環器内科医、離島勤務の内科医、脳血管内科医、麻酔科医、管理栄養士、そして理学療法士である私という構成メンバーでした。
参加前からかなりハードなセミナーになるので覚悟してくるようにと言われていましたが、その通り嵐のような5日間でした。グループのメンバーとはもちろん初対面でしたが、研究テーマの決定および情報収集、計画書の作成、そして発表という明確な厳しい目標があるために、人見知りなどしている暇もなくそれぞれが普段臨床や研究の現場で感じている素朴な疑問について、寸暇を惜しんで議論し合いました。
普段はあまり意見交換をするような職種同士ではありませんが、それぞれ立場は違えども循環器疾患の「予防」に興味があり集まっているメンバーだったので、アイデアが次々と出て収集がつかなくなる時もあるくらいでした。
グループ討議は午後から始まりましたが、時計を見ればもうあっという間に深夜過ぎという毎日で、このような経験は学生時代以来だったと思います。
また、グループ討議には講師の先生方がチューター(助言者)として付いて下さり、普段の学会などではとても質問できないような、基本的な質問にも答えていただけるという素晴らしい環境でした。深夜にはお酒を交えながら、論文や学会発表では知り得ない研究のポイントや、実際日本で行われている大規模研究の裏話など、このセミナーならではの多くの有意義なお話を聞くことができました。
グループで作成した研究計画は、計画書としてまとめた後発表し、講師の先生方の審査を受けます。私たちは「睡眠と心筋傷害の関連性について」というテーマで討議を進め、質の悪い睡眠は、心筋傷害や血管内皮機能の低下を引き起こし、心血管イベント発生のリスクになり得るのではないか?という内容で発表し、見事第2位という結果を収めました。
セミナーでは循環器疾患予防の疫学に関するトピックスや、他職種の参加者との意見交換や討論を通じて多くを学ぶことができました。
現在、私は働く人々を対象にストレスや生活習慣と循環器疾患の発生について研究を行っていますが、今回の経験を今後の研究計画の立案および実践にぜひ活かしていきたいと考えております。
最後になりましたが、本セミナーへの参加にあたり研究開発調査助成を賜りました財団法人北海道心臓協会に厚く御礼を申し上げます。