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NO.56

第34回日本高血圧学会総会に参加して

JR札幌病院 栄養管理室
管理栄養士 瀧澤 泉氏


瀧澤 泉

 「高血圧のフロンティア〜 アジアからの発信〜 」をテーマに掲げ、第34回日本高血圧学会総会が10月20〜22日の 3 日間、栃木県宇都宮市で開催されました。

 本学会では高血圧の基礎的・臨床的な研究の発表だけではなく、高血圧治療の最終目標である心血管病の発症予防のために、他学会や他分野とも協同したシンポジウムやアジア人として欧米人とは違った高血圧の診療方針が必要との考えから、多くの近隣諸国の方が参加できるよう工夫が凝らされておりました。

 心血管病の原因となる高血圧はいろいろな生活習慣の歪みから生じますが、そのうち最も重要なものの一つとして食塩の過剰摂取が上げられます。日本高血圧学会では 1日6g未満の食塩摂取量を目標に掲げていますが、この値はたくさんの高血圧患者さんで減塩の試験をして確実に血圧が下がった値を参考にして決めたものです。

 本来はもっと少ない値にすべきだというのが専門家の意見であり、欧米では1日3.8gくらいの値を最終目標として示しています。

 ところが、日本人の平均食塩摂取量は1日10.7gと多く、いかにして目標達成するかが高血圧治療の課題となっております。

 メディカル・コメディカルセッションの中で高血圧学会減塩委員会から、高血圧管理と循環器疾患予防のために食塩摂取の減少を目指すことを目的に、政治的・社会的な取り組みや集団に対する取り組み、個別的な取り組みと広報活動の 4 本柱についての活動報告がありました。

 ポピュレーションアプローチとして、加工食品の食塩表示に関する関連省庁への働きかけや食品中の食塩含有量の調査、減塩ヘルシー弁当の提案などを行っているとのことでした。

 今回のランチョンセミナーでも減塩ヘルシー弁当が振舞われ、栃木県の新鮮な食材が沢山使われており、美味しく、大変満足できる内容でした。

 さらに、食塩摂取量は個人差が大きく、減塩指導を行う場合、まずどのくらいの食塩を摂取しているのかを認識していただくことが重要だと言われており、減塩実践の支援ツールの検討も行われています。

 そこで今回私たちは、有効な減塩指導の方法を尿中食塩排泄量推定値による評価を用いて対象研究で検討を行い発表してきました。

イラスト

 有効な減塩指導には、起床後第2尿による生化学的な尿による食塩排泄量を認識していただく動機付けと、夜間尿全量による前日の24時間食塩摂取量を推定する減塩モニタを用いたセルフモニタリングによる継続的な情報提供による支援の有用性が示されましたが食塩摂取量 1日6g未満を達成できた方は2%に止まりました。

 今後は今回、学会参加させていただいて得たものを生かして、より有効な減塩指導法の検討を続けていきたいと思います。

 このたび本学会への参加にあたり研究開発調査助成を賜りました財団法人北海道心臓協会に心より感謝申し上げます。


  
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