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第73回日本心臓血管放射線研究会に参加して
北海道大学病院 放射線診断科
後期研修医・博士課程大学院生
菊池 穏香
当院の放射線診断科は体幹部画像診断を行うBodyグループ、頭頚部・脊椎画像診断を行うNeuroグループ、カテーテルを使用した血管内治療などを行うIVRグループの3つのグループがあります。私は後期研修医なので、これら3つのグループをはじめ、核医学を含めた画像診断や放射線治療を数ヵ月ずつローテーションして研修しているところです。また、私は心臓画像診断に興味があり、今年度より大学院へ進学しております。
心臓の画像診断は、以前は、エコーや核医学検査が検査の主流でした。また、少し前までは、心臓は動く臓器なので、CTやMRIで評価することはできないと考えられていました。しかし、近年の撮像技術の発展に伴い、動いている心臓をCTやMRIで撮像することが可能となり、心臓を栄養する冠動脈の狭窄の有無や、心臓の動きが正常なのか低下しているかなど評価できるようになってきています。冠動脈の狭窄の有無がCTやMRIで評価できるようになったため、施設によっては、カテーテルを血管内に挿入し、冠動脈を造影して狭窄の有無を確認する検査の前に、まずはCT・MRI(侵襲性の少ない検査)で狭窄の有無を確認し、治療が必要な強い狭窄がある場合に初めてカテーテル検査(侵襲性の高い検査)をする、という流れになっています。また、MRIはX線被爆がなく、心臓の動きや心臓の筋肉に異常があるかどうかを調べることに特に優れています。 MRI検査はペースメーカーが体内に挿入されていると検査できない等の制限がありますが、MRI検査をすることで、どんな病気で、どこの部位が、どの程度障害されているのか評価できるようになってきています。
さて、今回、私が参加した「日本心臓血管放射線研究会」ですが、心臓画像診断をしている放射線科医をはじめ、循環器内科医、技師などが参加し、それぞれの施設で行なっている研究発表や、シンポジウムなど、内容盛りだくさんの会でした。私は、心臓に病変を認めた悪性リンパ腫の画像診断に関して発表をしてきました。悪性リンパ腫は化学療法がよく効きます。よって、画像診断で早く診断ができれば、早くから治療を開始することができ、化学療法の効果も、より期待できると考えられます。心臓に病変を認める悪性リンパ腫の頻度は高くはありませ んが、私たちの施設で、連続して経験した悪性リンパ腫に特徴的な集学的画像所見をまとめて発表しました。
研究会は様々な施設で活躍されている方の発表を聞くことができ、とても刺激になりました。また、私の上司の真鍋徳子先生は心臓画像診断を大変熱心に研究されており、研究会でも教育講演をされていましたが、まだまだ未熟な私にも直感的におもしろそう!と感じる内容で、身近にこのような先生がいて、直接ご指導いただけるのは、とてもありがたい事だなあ、と思いました。写真は、今回、北大から参加したメンバーです(左から2 番目が真鍋先生、右端が私)。
最後になりますが、本研究会への参加にあたり研究開発調査助成を賜りました財団法人北海道心臓協会に心より厚く御礼申し上げます。