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アメリカ心臓協会学術集会に参加して
札幌医科大学医学部内科学第二講座
大学院生 高田 明典
2010年11月13日から17日までの5日間、アメリカ心臓協会主催の年次学術集会がイリノイ州シカゴにて開催されました。この学会は循環器に関する最大規模の学会であり、毎年世界中から数多くの医師・研究者が参加しています。今年も採択率が30%台であるなか、日本からもアメリカに次いで数多くの演題が出されていました。期間中は基礎研究・臨床研究ともに数多くのセッションが準備されており、全てを網羅することは不可能ですが、各分野で第一人者である研究者の講演や発表を聞くことができ、非常に有意義な時間を過ごすことができました。臨床面では大規模臨床試験の報告がされるなど、今後日常診療を行っていく上で参考にしていきたい結果を得ることができました。
今回私は研究テーマとしている、糖尿病による心筋梗塞後予後増悪のメカニズムに関して、発表の機会を得ることができました。近年日本においてはもちろんですが、世界中で糖尿病患者数は増加しています。糖尿病は心筋梗塞後の心不全を増加させ、予後を悪化させる因子であることが知られています。本研究では、2型糖尿病モデルラットでは心収縮能・拡張能障害が軽度であるにも関わらず、心筋梗塞後の急性期死亡率が非糖尿病モデルラットと比較して有意に高いこと、また血圧・心電図の記録から死亡の原因が不整脈による突然死ではなく、心不全であることを見出しました。また糖尿病モデルラットではアドレナリン作動薬に対する反応が低下していることを明らかにしました。会場では同様の研究を行っている多くの先生方からご質問やご助言を頂くことができました。今後研究をすすめていく上で参考にさせて頂きたいと考えております。
さて、シカゴはミシガン湖の南西岸に位置し、陸・海・空の拠点として発展を遂げました。中心部は歴史的な高層建築が立ち並び、アメリカでも屈指の大都市です。学会の会場となったマコーミック・プレイスコンプレックスは、アメリカ最大のコンベンションセンターで、会場内の移動だけでもスケールの大きさを感じさせられました。また建築に限らず、美術、オーケストラ・ブルース・ジャズといった音楽、バスケット・アイスホッケーといったスポーツの街としても知られています。学会の合間にはシカゴの文化的な素晴らしさにも触れることができました。
今後また新たな気持ちで、研究や日々の診療に向かっていきたいと考えております。最後になりますが、本学会への参加にあたり研究開発調査助成を賜りました財団法人北海道心臓協会に厚く御礼申し上げます。