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第16回日本心臓リハビリテーション学会参加報告
特定医療法人 北海道循環器病院
理学療法科 阿部 史
当院では開設以来、一貫して心臓リハビリテーション(心リハ)に取り組んでおり、自転車エルゴメーターやトレッドミルといった定量負荷の運動に加え、スポーツとして屋内では卓球やミニテニスを、また屋外では軽登山やノルディックウォーキングを、そして冬期間は歩くスキーやカンジキハイキングを実施しています。これらの運動療法は生活習慣改善による再発予防が最大の目標ですが、室内の運動療法のみでは患者さんの運動耐容能は改善しても生活の質(Quality Of Life)の改善には必ずしもつながらないことを今までの臨床経験の中で痛感してきました。残念ながら東北以北では冬期間の積雪時期が、運動不足や閉じこもりの大きな要因となっています。北海道は四季がはっきりしており、自然環境を活かしたドイツの心リハモデルをもとに、患者が日々の生活の中で屋外の活動にも目を向け、楽しみながら運動すること自体がそのまま心リハにつながるとの観点から、当院での心リハを「札幌モデル」として、北海道、強いては我が国の心リハ普及に貢献したいと考えております。
自然を活かした「札幌モデル」の心リハを展開して20年が経過し、今回、第16回日本心臓リハビリテーション学会にて当院の取り組みを発表する機会を得ました。日本心臓リハビリテーション学会は、年々学会規模が大きくなっており、今年度は過去最大の演題数と参加者数となっていました。メインテーマは「心臓リハビリテーションの新しい展開:患者にやさしい包括的治療」と掲げられ、鹿児島で開催されました。
各地における心リハの取り組みや成果が発表されておりましたが、特に二次予防の観点から患者さんも勉強し、共に再発予防に取り組む内容が多くありました。そのツールとして各々の医療機関で教室を開催し、食事療法や薬の飲み方、運動療法について学ぶ場を提供していました。
日本心臓リハビリテーション学会では、我が国における包括的心臓リハビリテーションの質的向上を目指して認定している資格制度があります。医師、看護師、理学療法士、作業療法士、臨床検査技師、薬剤師、臨床工学士、管理栄養士、健康運動指導士で、心リハ実施に必要な知識・技術と一定の臨床経験を有し、その理念を理解する者を対象としており、更に、症例レポート、講習の受講、認定試験などに合格した者に対し、日本心臓リハビリテーション学会の理事会および評議員会の承認を経て、心臓リハビリテーション指導士認定証が交付されます。
現在、私は、理学療法士として心臓リハビリテーションに従事させていただいております。北海道では心臓リハビリテーション指導士が、まだまだ他県に比べ少ない現状であり、心リハの「札幌モデル」を普及させ、今後も社会に対して少しでも貢献できるよう取り組んでいきたいと考えております。
最後に、本学会への参加にあたり研究開発調査助成を賜りました財団法人北海道心臓協会に心より厚く御礼申し上げます。