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アメリカ心臓協会学術集会に参加して
北海道大学 大学院医学研究科 循環病態内科学・大学院生
大村 計さん
平成19年11月4日から7日までの4日間(プレセッションを含めると3日からの5日間)、アメリカ心臓協会主催の年次学術集会がアメリカフロリダ州のオーランドで開催されました。
この学会は世界最大の循環器学会で、10,000を超える抄録の中から約4,000の一般演題が採択されました。他に数多くのセミナーやプレナリーセッション、記念講演、大規模臨床試験の中間報告など多彩なプログラムが用意されていました。各セッションはテーマごとに細分化されており、各分野で最先端の報告がされていました。また、展示会場には新しい診断機器や治療器具等が並び、危険因子の制御に関連して低脂肪のヨーグルトドリンクなどの試食コーナーもみられ、盛況を呈していました。26,500人を超える参加者がありましたが、日本で事前にいわれていたような会場を埋め尽くすほどの混雑はみられず、例年より人が少なかったようです。遊びに行っていたのでしょうか。会場となったオレンジカウンティコンベンションセンターは広大で端から端まで10分以上歩かなければならないほどの大きさでした。
今回「ナチュラルキラーT(NKT)細胞は高脂食飼育肥満マウスにおける耐糖能障害や微量アルブミン尿の進展に寄与する」について口述発表をさせていただきました。NKT細胞は、糖脂質を認識して炎症性サイトカインを放出する特異なT細胞亜群ですが、今回の研究でNKT細胞は肥満マウスにおいて、内臓脂肪組織の慢性炎症を増強させ肥満に伴う代謝異常に寄与することが示されました。NKT細胞はメタボリックシンドローム発症・進展に重要な役割を果たしており、NKT細胞の制御は新たな治療標的となることが期待されます。何人かの先生より研究者の視点から貴重な質問や助言をいただきました。また、セッションの最後の発表であったため、発表が終った後、座長の先生と研究内容について直接話をする機会に恵まれ、また、記念写真も快諾していただき貴重な経験となりました。
多数のセッションからすべてを網羅することはできませんが、自分の関連する分野や興味あるセッションを選んでいくと、時間が重複しないようにプログラムが組んであるようでした。動脈硬化と炎症における第一人者の講演も聴くことができ、大変勉強になりました。基礎研究から実際の臨床への応用はまだまだ時間がかかると思いますが、今後新たな予防法や治療法が開発されていくものと感じることができました。
さて、オーランドは数々のテーマパークやホテル、ショッピングセンターなどが林立するリゾートタウンです。学会への参加の合間にはウォルトディズニーワールドの各テーマパークへも足を運びました。これもすべてを回ることはできませんが、アニマルキングダムのサファリやMGMスタジオのカースタントショーなど日本にはないものを経験してきました。日本を出発し飛行機に乗り込んでから、シカゴ空港での乗換え、学会場、ディズニーワールドなどどれをとってもアメリカ的なスケールの大きさを感じながら帰ってきました。
また新たな気持ちで、今回得られた知見や経験を今後の研究や診療に役立てていければと思います。
最後になりましたが、本学会への参加にあたり研究開発調査助成を賜りました財団法人北海道心臓協会に厚く御礼申し上げます。