◆運動しないヘビースモーカーや大酒飲み

がんの危険5倍

1日20本喫煙→運動効果が「台無し」

 運動しないヘビースモーカーや大酒飲みは、運動を習慣にしている健康な人に比べて五、六
倍もがんにかかる危険度が高いことが、東京ガス健康開発センターの調査で分かった。

 散歩程度の軽い運動でも大きながん予防効果があることが知られているが、一日に二十本
以上喫煙すると、せっかくの運動による効果を台無しにする恐れがあることも判明。調査に当
たった沢田享主幹研究員は「まずは禁煙、次いで適量飲酒が大切。その上で一日一時間程度
の運動を心がけてほしい」と話している。

 四日から横浜市で開かれる日本癌(がん)学会で発表する。

 調査は、同社の社員九千三十九人を対象に十六年間かけて実施。習慣的な運動によって高
めることができる持久力の目安である最大酸素摂取量を調べて四グループに分け、喫煙量や
飲酒量などの生活習慣についてアンケートして、その後のがんによる死亡実態との関係を追跡
した。

 その結果、一日二十本以上の喫煙者は、どれだけ運動しても危険度が、運動している非喫煙
者の二・五倍までしか下がらず、ほとんど運動しない場合は危険度が五・一倍も高かった。

 また適度な飲酒はがん危険度の上昇に大きな影響を与えないが、運動をせずに一日二合以
上飲酒する人の場合は危険度が、酒を飲まず運動する人の六・六倍まで跳ね上がった。

 ただ、運動せずに全く飲酒しない人も危険度が四・六倍と高く、沢田研究員は「ストレスや体質
的な問題と関係があるかもしれない」と推測している。