無常法からみれば,人間の生死は無相,空である。
仏陀が発見した無常法とはあまりにも恐ろしいぎりぎりの真実というべきである。
人間の仕事も,人間の喜怒哀楽もすべて無常法の中のざれごとにすぎないのだ。
それではあまりにも虚しいではないか,と考えるのは虚無主義であり,
虚無主義とは無常法を真向から観ることなき逃避の思想にほかならぬ。
無常法を観た仏陀は冷徹峻厳な人生に対して反省を求めるとともに,一瞬一瞬の精進を要求する。
無常法の真只中に生きるには,一瞬の中に永遠を映すしか手がないのだ。