静岡産業大国際情報学部 富田勲教授に聞く
米の学会で発表され注目
心臓血管の損傷防ぎ細胞守る
心臓病を予防する効果があるとして最近、紅茶に含まれる抗酸化物質「紅茶フラボノイ
ド」への関心が高まっている。予防効果は昨年三月、米国の権威ある専門学会で発表さ
れ、同じく健康効果があるとされる緑茶を常飲する日本の研究者も注目している。紅茶と
病気予防の関係について、茶葉の健康効果に詳しい薬学博士で静岡産業大国際情報
学部の富田勲教授(生命科学)に聞いた。(加藤達也)
紅茶の心臓病予防効果は昨年三月、米フロリダ州オーランドで開かれた米国心臓学
会議(ACC)でロンドン大のキャサリン・ライスエバンス教授ら四人の研究者によって発表
された。
ライスエバンス教授は「紅茶は抗酸化物質であるフラボノイドが最も豊富に含まれる飲
み物のひとつだが、これが吸収されることで心臓血管の酸化損傷を防ぎ、細胞や組織を
守る」と指摘。
また、「一日三杯の紅茶の飲用で心筋梗塞(こうそく)の発症率が推定11%低下」(ノース
カロライナ大のレノア・アラブ教授)、「冠状動脈疾患の患者の血管内皮機能が向上」(ボ
ストン大のジョセフ・ヴィタ教授)−など、心臓病などへの予防効果が次々と発表された。
こうした研究結果について、富田教授は「紅茶の健康効果は民族によって異なり食事
内容にも左右され、日本人との比較評価は難しいが」と前置きした上で、「抗酸化物質が
活性酸素の作用を抑制することは証明されており、米国の権威ある学会で、疫学調査を
裏付ける結果として発表されたことは注目に値する」としている。
多くの病気は活性酸素が正常な細胞を酸化し、傷つけることで発生する可能性が高い
とみられているが、紅茶を含む茶類にはこの活性酸素を除去する物質(抗酸化物質)が含
まれている。
紅茶フラボノイドには、強い抗酸化性があるカテキン、テアフラビン、テアルビジンなど
が含まれ、これが「予防的効果がある」と考えられている。
一方、紅茶に含まれるカフェインが健康に有害だという指摘があった。これについて、
富田教授は「紅茶でいえばカップ二十杯以上飲めば骨に影響が出る可能性があるが通
常はまったく問題はない。むしろ、体脂肪の燃焼効果がある」としている。
ただ、富田教授は「紅茶や緑茶は、薬のように直接的な効果を期待して飲むのではな
く、日常生活の中でおいしく飲みながら健康増進につなげていくことがいいのでは」と話し
ている。
健康と紅茶の関係についての最新情報は「紅茶と健康インフォメーションセンター」(東
京都千代田区)のホームページ(http://www.teaandhealthjapan.com)で閲覧できる。