十歳の息子は、今年一月に学校で遊んでいて初めて過呼吸を起こしました。その後、学校でも家庭でも起こすようになり、病院で過換気症候群とパニック障害と診断されました。学校に自由に行けなくなり、私が付き添っています。スポーツ少年だったのが、走ると息切れのような状態になります。この状態をどうしたらいいのか悩んでいます。(母親) ≪心理面に通じた医師に相談を≫

 不安や緊張、運動により、浅い呼吸を激しくすると、吸気中に酸素が多量に吸収され、呼気中には二酸化炭素が多く排出されます。その結果、二酸化炭素濃度が低下して血液が普段よりアルカリ性に傾くため手足がしびれたり、頭がボーッとしたり、息苦しくなるのが過換気症候群です。

 治療には、まず血液中には酸素が十分にあるので、いくら苦しくても決して死なないこと、必ず治ること?を知ってもらうことが大事です。次に減少している二酸化炭素を補うため、ポリ袋や紙袋を口に当てて、吐いた息を再呼吸して血中二酸化炭素濃度を高めていきます。抗不安薬を服用することも有効です。

 胸式呼吸は発作を起こしやすいので、腹式呼吸や自律訓練法の習得が発作防止につながります。

 さまざまな治療を試みても治らない人は、心理・社会的背景に何かストレスを抱えている場合があります。子供でも塾や友人関係のストレスがある時代ですから、ご相談のお子さんの年代でも心理的な原因が十分に考えられます。

 パニック障害は、動悸(どうき)や胸痛などが何かのきっかけで起こった後、再び同じような条件(発言や発表時、乗り物など狭くて逃げられない場所)になると同様な症状が起こるのではないかと思い、その状況を避けるようになるものです。ひどくなると外出も不可能になります。しばしば、過換気症候群を伴います。

 パニック障害に対し、私は歩行訓練療法(森田療法変法)を実践し、効果をあげています。

 駅やバス停に向かって自分のペースで歩き、徐々に歩行距離を延ばしていきます。駅やバス停まで歩行可能になれば、そこから一駅ずつ電車やバスに乗る距離を増やしていくのです。一人で実行することが大切で、飲み物、薬、携帯電話の所持は許可しています。

 これらの症状は一度生じると長期間続くことも多いので、心療内科医など心理面にも通じた医師に診てもらい、ストレスが背景の場合、臨床心理士のカウンセリングを受けることも必要でしょう。