聴覚・補聴器に関する意識調査

情報の少なさ浮き彫り

 本格的な高齢社会に入り、中高年齢者の約三分の一が聴力の衰えを感じており、六十代後半、七十代前半
のそれぞれ14%が補聴器は必要だと感じていることが、「聴覚・補聴器に関する意識調査」で分かった。補聴
器を支給する公的な制度については、「知っている」と答えた人は14.7%にすぎず、補聴器についての情報や
知識が少ない現状も浮き彫りになった。

 調査は第一生命保険のシンクタンク、ライフデザイン研究所が全国の五十歳から七十四歳までの男女を対
象に、昨年十一月に実施、九百七十一人から回答を得た。

 それによると、聴力の自己評価は「ほとんど聞こえない」0.1%、「かなり聞こえにくい」2.3%、「やや聞こえにく
い」29.2%。音は聞こえるのに言葉を聞き取りにくいと感じることがあると回答した人は57.8%だった。

 聴力検査は、男性や有職者の半数近くが最近一年以内に受けていたが、女性や無職の人では、一年以内
に受けたという回答は約二割にとどまっており、特に六十五−七十四歳では、26.4%の人が「聴力検査を受け
たことがない」と答えた。

 補聴器を現在使っている人は1%。使っていない人のうち補聴器の必要性を「感じることがある」と回答した
のは8.6%で、年齢とともに必要性を感じる人が増え、六十代後半と七十代前半ではそれぞれ14%だった。

 補聴器に関する知識への認知度は、「認定された専門店がある」31.8%、「補聴器を支給する公的制度があ
る」14.7%、「聞こえやすい側の耳に補聴器をつけたほうがよい場合がある」10.8%−にすぎず、補聴器に関す
る情報不足がうかがえる。