過剰は腎臓に負担、適正量維持して 

 人間の身体の中で水分が占める割合は男性が約60%、女性は約55%。人間の生命維持には水分が不可欠な働きを果たしている。

 人間が摂取した水分は、胃を通過して腸に到達。小腸で95%、残りが大腸で吸収される。水分が体内で果たす最も重要な役割は、細胞が活動しやすい環境を維持すること。細胞への栄養補給や老廃物の運搬は、血液中の水分が行っている。

 もしも、体内の水分が急激に減少すると、発汗による体温調節ができなくなり、生命の危機すら生じる。反対に水分の割合が増えると、腎臓の負担が増加して体内の老廃物を処理しきれなくなってしまう。

 ところが、冷房の普及や都市部の気温上昇により、現代人の水分調節機能が低下しつつある。街頭で五十人を対象に体内の水分量を調査したところ、水分過剰だった「タプタプ型」が二十六人、水分不足の「カラカラ型」が十六人、適正な水分量を維持していたのは、わずか八人だった。

 タプタプ型は、冷房が効いた室内に長時間いて、汗をかかない人がなりやすい。腎臓の働きが低下し、細胞内の水分量が増加。細胞に栄養が届かなくなるため、疲れやすくなったり、食欲がなくなったりと全身が機能低下の状態になる。

 そうならないためには、腎臓の働きをサポートすることが必要。60℃前後の温かい飲み物は腎臓への血流を良くし、尿の量を増やす働きがある。お茶やコーヒーなど利尿効果のあるカフェインが入った飲み物にすれば、さらに効果的。腎臓に優しい栄養素のカリウムを多く含むバナナやメロン、トマトなどの野菜、果物もできるだけ食べるようにしたい。

 一方のカラカラ型は、体内のナトリウム、カリウムなどのイオンが不足するとなりやすい。汗にはイオンが大量に含まれているが、水やお茶を飲んでもイオンは補給できないため、水分を摂取しても尿で排出されてしまう。

 防止には、スポーツドリンクなど電解質を含む飲み物を補給することが必要だ。人間が一度に吸収できる水分量は二〇〇?三〇〇ミリリットルが限度。がぶ飲みを避けて定期的に摂取するよう心がけたい。冷たいビールをはじめとするアルコール類には利尿作用があるので、体内の水分は結果的に減少してしまう。きちんとした水分補給をしたうえで、のどごしのうまさを味わうようにしたい。