そろそろ紫外線が一年で最も強くなる季節。日焼けによって皮膚疾患や肌が老化するだけでなく、白内障など目の病気につながる恐れもある。UVカットのサングラスやコンタクトレンズに加え、このほどUVケア目薬も登場、一般の関心も高まってきた。紫外線から目をどう守ればいいのか、専門家に聞いた。(藤田綾子)
■白内障との関連
紫外線と関連し、世界保健機関(WHO)が警告している主な目の病気には、「雪目」「翼状片」「白内障」がある。
うち、スキーヤーに多い「雪目」は、強烈な紫外線反射で角膜(黒目部分)の上皮細胞が破壊され、激しい痛みを伴うが、二日ほどで自然治癒する。「翼状片」は、強い光などによって結膜(白目部分)組織が鳥の翼のように角膜にせり出してしまう病気。剥離手術で回復可能だという。
そして、水晶体(レンズ部分)が白く濁ってしまう「白内障」。世界中で最も一般的な失明原因で、ほとんどの場合、手術(保険適用)で治る。加齢が最大の原因だが、ビタミン不足など複雑な要因が絡み合い、紫外線もその一つと考えられている。
金沢医科大学講師の小島正美さん(四七)らが世界の四地点で白内障有病率を調べたところ、高い順からシンガポール、奄美(鹿児島県)、能登(石川県)、アイスランド(首都レイキャビク)だった=図。ちなみに紫外線の年間照射量は、能登を一とした場合、奄美が一・四、シンガポールは二・一、そしてアイスランドが〇・四。つまり「紫外線の照射量と、白内障にかかる率は比例している」と小島さんは指摘する。
■防御するには
単純に紫外線をカットするしかない。地球上に届く紫外線(A波とB波)のうち、目に有害なのはB波。B波は波長が短いので、窓ガラスでほぼ遮断される。ただ、小島さんが念を押すのは、「日光に当たること自体が悪いわけではなく、屋外で遊ぶことは子供の成長を助ける」ということ。要は、紫外線から皮膚や目を守る意識、習慣を持つことが大切だという。たとえ曇天でも、紫外線は地表まで届く。
一日で最も日差しが強いのは、午前十?午後二時。何もせずに屋外に出ると、太陽が放つ紫外線の約七割を浴びてしまうが、帽子をかぶればほぼ半分、サングラスをかけると二割弱に防ぐことができる?という調査結果もある。
ただし、サングラスには大きな落とし穴が。「紫外線は正面からだけでなく、側面はもちろん、照り返しで下からも入ってくる。顔とサングラスにすき間があると、紫外線がレンズに屈折し、目に集中的に入る」という。その点、レンズが大きく、顔にフィットするタイプを選べば効果的だ。また、色の濃いレンズでは、瞳孔が開き紫外線が入りやすいので注意したい。
さらに、普通のコンタクトレンズは紫外線を通してしまうが、その大半を遮断できるものもある。ただし「コンタクトレンズは角膜しか覆わないので、サングラスとの併用が望ましい」と小島さん。目と肌を効果的に紫外線から守り、これからの季節を楽しみたい。