1日1分の目の体操で視力回復

 G課長の一人娘のD子ちゃんは受験勉強の真っ最中。あこがれの中学校の制服を着て通学すること
を夢見てがんばっています。ところが、健康診断の視力検査で昨年より悪くなっていることがわかりまし
た。

 「わしざき先生、視力を戻す方法はないものでしょうか」とG課長がたずねてきました。

 眼は、カメラでいえばレンズにあたる水晶体の厚さを調節し、フィルムにあたる網膜に焦点を結んで見
えるような仕組みになっています。ところが、近いところばかり見ていると水晶体の厚さを調節している
毛様体筋という筋肉が疲労して、網膜の焦点が合いにくくなり、「近視」というピントずれの症状が起こっ
てきます。

 最近の子どもはテレビゲームに熱中したり、学校でパソコンを使う機会も多いため、毛様体筋ばかり
でなく、眼の外側の眼球を動かす動眼筋も疲労しています。近視になりやすい環境にいるだけに、ふだ
んから軽い目の体操をさせて疲れを取るようにしましょう。目の体操の方法はいたってかんたん。二十
センチくらいの近い物を見てからすぐに遠くを見る運動を数秒ごとに繰り返すだけです。毎日一分間(約
十回くらい)だけでいいですから、親子でさっそく始めてみませんか。

 さて、視力が落ちてしまったD子ちゃんには眼鏡を作ってあげることもすすめました。ところが「眼鏡を
かけると度が進むというでしょう」と、G課長はあまり乗り気でない様子。世の中には、こんなふうに誤解
している人が多いように思いますが、眼鏡やコンタクトレンズを使っても度が進むようなことはありませ
ん。視力を矯正しないで放っておくと、姿勢が悪くなったり、黒板の字が見えにくいためにかえって勉強
の能率が落ちてしまいますし、だいいち目がかなり疲れます。

 「眼鏡屋さんに行く前に眼科で診てもらうといいよ」とG課長にはアドバイスしました。近視以外の眼の
病気がないかどうか見逃さないためです。近視と診断されたら、一人ひとりの日常生活に合わせた眼鏡
の処方箋(せん)をつくってもらえるので、それを持って眼鏡屋さんに行くと、D子ちゃんにぴったりの眼鏡
ができるでしょう。