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日本は有史以来,軍事力を蓄えて他国の領土を侵略する侵略戦争は一度も起こしていない。満州事変も支那事変も,戦争でなく事変であって,
ーーー清水馨八郎,破約の世界史(祥伝社刊)よりーーー
日本は日帝三十六年間をわれわれに補償せねばならない。私は自尊心をまげてまで日本との
修好は絶対にしない。小さな国であればこそ、自尊心がなければならない。私は主権国家の名
誉と自尊心を守る。
(金正日)
さて、昨今、ロシアでは権威主義的で大国主義的な傾向が復活し、中国の指導部では、かつての中華
主義がより軍事的色彩を濃くして復活している。これらの国々に対するのと比べ、民主化や市場経済の
発展著しい韓国、台湾、アセアン諸国などユーラシア周辺部諸国に対する日本国民の親近感はより強い
であろう。
そうした国民感情は、天皇を戴いた緩やかな統治体制、中間団体の活発な活動、共産主義への直感的
な警戒心といった形をとりながら歴史的に培われてきた日本のアイデンティティーと深く関わっている。む
ろん、それだけで日本の外交方針を決定するわけにはいかないが、そうした歴史から導き出される教訓と
は、日本はユーラシア周辺部諸国やアメリカと連携しながら、ユーラシア中心部に深く関与せず、かつそ
の帝国的膨張を抑えて、自国の文化と伝統を発展させていくということではなかろうか。
ロシア軍の情報機関GRU(参謀本部情報総局)は旧KGB(国家保安委員会)と双へきをなす旧ソ連の諜報
機関で、ロシア軍が管轄しており、多くのなぞにつつまれた組織。世紀のスパイといわれたゾルゲもGRUの
出身だ。当初はごく小さな組織だったが、東西冷戦が過熱する中でKGBとともに規模が拡大した。その要
員は、大使館員や特派員といった肩書で、諸外国でスパイとして暗躍していたとされ、日本国内でも「自衛
隊の次の次の人事まで知っている」(防衛庁筋)ほど軍事情報に精通していたといわれる。対外情報局(SV
R)長官を務めたプリマコフ氏やステパシン氏といった歴代首相もスパイをコントロールする「スパイマスタ
ー」の経験を有していた。
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「日本は、アメリカ などの西側の情報を入手するための窓口ともなりかねない。
親友の秘密も守れないようなもので、とても普通の国 とはいえない」
と江畑氏は話している。
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中国の戦略
On
Wednesday, Beijing announced rules
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Far Eastern Economic Review
SCMP.com -
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Inside China Today
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河野外相が今回の訪中の主要議題の一つとした対中経済援助については、同外相が唐外
相に援助実施のために「中国の軍事費の透明性」や「(中国による)第三国への援助の説明」を求め
たことはもちろん、日本側が今後の対中ODAのあり方を問題としているという趣旨の河野発言もま
ったく報道されなかった。日本側が主要テーマとした対中ODAをめぐる論議は中国のマスコミでは
完全に抹消されたわけだ。
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健全な対中関係を築くには、まず日本
の利害に基づく日本の立場をきちんと表明せねばならない。この意味では河野洋平外相の今回の訪中は
象徴的な前進の一歩を画したといえよう。中国を訪れる日本政府の公式代表がまず口にしなかった中国
批判を含めての率直な自国の主張をきちんと伝えたからである。
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河野外相のどの訴えにも誠意ある回答は返さなかった。経済援助については「両国の利益となるから
高く評価する」という高所からの言明を繰り返すだけだった。日本側では不況に苦しむ日本が、核兵器
開発に力を注ぎ安全保障でも根本から政策を異にする大国の中国に毎年二千億円もの援助を与える必然
性とはなにか、という疑問はなお残る。
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中国は海洋調査船について相互通報の枠組みづくりに合意はしたが、その通報が「両国それぞれ自主
的な行為」となる点を強調した。海軍艦艇の日本近海での不審な行動については「日本側の心配する事
態はすでに存在しない」(唐外相)と一蹴した。この表現は日本側でも歴史認識や軍国主義について不当
な糾弾をされるとき、つい「日本側」を「中国側」と入れ替えて使いたくなるほど便利なセリフであ
る。そんな突き放しの言辞から中国側が海軍艦艇の活動の自粛を決めたのだとみる日本側の解釈は甘す
ぎる。
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日本は戦後、他国に武力による侵略を企ててはいないし、多額のODAを為してきた。
日本が長期にわたって援助してきた水力発電事業に、紅水河天生橋水力発電所がある。紅水河といってもほとんどの読者は知らないであろう。
中国人でも答えられるかどうか分からない。広西壮族自治区・貴州省の境界に位置し、長江中・上流、黄河上流に次ぐ中国で三番目の水力資源
の開発基地である。紅水河開発は孫文の「実業計画」にまでさかのぼる歴史を持っているが、険峻な自然条件に阻まれ、これまで開発されなかっ
た。
わが国のODAにふさわしい項目であるが、この工事を担当している組織は人民武装警察部隊水力発電第一総隊。この部隊は文化大革命直前
に毛沢東の命により中国軍の中に創設された基本建設工程兵の第六十一部隊である。トウ小平の改革により中国軍から人民武装警察部隊に移
管されたが、基本建設工程兵時代以来の任務と性格を引き継いでいることがうかがわれる。長さ一六六八メートル、高さ一七八メートルの世界第
二位、アジアで第一位の堰堤(せきてい)。堰堤の建設に使われた土石畳は一八〇〇万立方メートル、コンクリート面積は一五万六〇〇平方メート
ル。世界でも類を見ない大工事にうってつけの組織である。
中国人民大学世論研究所の劉志明研究員は著書「中国のマスメディアと日本イメージ」で中国の教科書では日本の戦
争行為に関する記述が驚くほど大きな比重を占めることを述べている。
「中国の学校では日本の中国侵略、抗日戦争に関する内容が教科書のなかで最も重要な位置を占め、非常に詳しく教
えられている。一九八六年版の中国国家教育委員会が制定した教科書を分析した結果、小学校ではほぼ一〇%、中学
校はほぼ二〇%が日本(の中国侵略)に関する記述である」
すべての教科書のなかでも日本の中国侵略についての記述は最重要とされ、全内容の二割をも占めるというのだ。
中国共産党宣伝部と国家教育委員会は九三年には小学生から高校生までのための愛国主義の映画百本を指定し
た。生徒たちは一年間にこれら映画のうち五、六本を必ずみなければならない。この百本のうち十四本はみな日本との戦
争をテーマとしていた。
こうした教育は日ごろのマスコミ報道や映画、ドラマ、さらには抗日戦争の歴史を恒常的に展示する各地の博物館など
と相乗して、「日本の侵略性」や「日本の残虐性」への若者たちの意識を高めていく。その結果、「戦後生まれの人でも戦
争体験者と同じ知識と経験を共有するようになる」(劉志明氏)のだという。
日本が中国に対し軍隊を送り、領土を占領し、多大な被害を与えたことは疑いない事実である。中国側の民間人も数多
くがその過程で生命を失ったことも間違いない。その意味に限れば日本の侵略や残虐の歴史も否定できない。日本軍に
実際に肉親を殺された中国の人たちが戦争の歴史をいまも語り、考えることを望み、それに対して国家がふんだんな教
育を与え、官営マスコミが戦史の資料を提供し続けることは、自然だとさえいえよう。
しかしその種の教育や報道には、日本側が過去の残虐行為に謝罪をせず、反省もせず、子供たちにその歴史を教え
ず、しかも厚顔にも賠償を拒んでいる−という大前提に基づく告発が陰に陽に組みこまれている。
日本側がそうした前提のほんの一部でも間違いだとして反論したり、疑義を唱えたりすることは許されない。たとえ将来
のよりよき日中関係を期待しての建設的な指摘でも、中国側が決めた枠組みと少しでもずれれば、「反中」「右翼」「軍国
主義者」というレッテルが張られるのである。
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だが愛国主義の高揚のための日本糾弾は日本の責任の範囲を超えている。そのさらに遠くの水面下には
共産党の統治の正当性を支えるという別の大きな動因があるというのだ。AP通信の記事はその部分をあっさ
りと報道したわけである。日中の歴史問題に関して米国のマスコミにまでそういう見解が広がったことは注視
すべきだろう。
共産党の現在の一党独裁存続のために日本の過去の悪が糾弾されるならば、日本の現在もなお悪であっ
たほうが、その政治宣伝は効果を高める。日本外務省の北京駐在中国専門官は中国の教科書の内容にそう
した計算がうかがわれると指摘する。
「中学、高校の教科書には日本の戦争行為に関する記述が山ほど載っているのに、戦後の日本についての
記述はゼロに等しいのです。憲法第九条や平和主義や非核三原則について紹介がまったくありません。一定
の意図が感じられます」
日本はたとえ戦前は軍国主義だとしても、戦後は戦力保持や軍事力行使を禁じる憲法を保ち半世紀間、た
だの一度も軍事力を使わなかった。国連の平和維持活動にさえ他国なみには加われない。同じ期間、インド、
ベトナム、旧ソ連など多数の国に対し軍事力を行使してきた中国にくらべれば「平和国家」として十二分に胸を
はれる。だが中国の子供は日本の現在の平和実績は教わらず、過去の軍事行動だけを教わるのだ。
日本への間断なき非難は中国側の内部動因が多いとしても、対日関係では結果として強力な「歴史カード」
となる。残虐行為をあたかも現代の出来事のように非難される側は、道義的に弱い立場に追いこまれる。
中国側の歴史認識の主張に少しでも疑義を唱えれば、自動的に「反中」とか「極右」と断じられる両国関係のメカ
ニズムの内部では、なおさらのことである。
||||| 中国の日本たたきは大成功 |||||
だが愛国主義の高揚のための日本糾弾は日本の責任の範囲を超えている。そのさらに遠くの水面下には
共産党の統治の正当性を支えるという別の大きな動因があるというのだ。AP通信の記事はその部分をあっさ
りと報道したわけである。日中の歴史問題に関して米国のマスコミにまでそういう見解が広がったことは注視
すべきだろう。
共産党の現在の一党独裁存続のために日本の過去の悪が糾弾されるならば、日本の現在もなお悪であっ
たほうが、その政治宣伝は効果を高める。日本外務省の北京駐在中国専門官は中国の教科書の内容にそう
した計算がうかがわれると指摘する。
同記者は結びとして中国側がこうした日本糾弾を続ける理由の一つを記す。
「それはこの反日政策が大成功であることだ。日本を間断なく攻撃しても、中国側になんの不利な結
果もないことだ。日本の企業は依然、投資を続け、観光客は訪中を続け、政府は援助資金を提供し続
けてきた」 だから中国にとってこれほど便利な外交戦略はなかったというのである。
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【上海26日=時事】中国の腐敗事件に関与して逮捕され、死刑となった江西省の胡長清・元副省長が生
前、「他人もみな、自分と同じように腐敗している。共産党に希望はない」と供述していたことが二十六日、分
かった。中国の日刊紙・中国青年報(二十五日付)が、「官を偽る者の言は偽りて弁ず」と題したコラムの中で
明らかにした。胡氏は今年三月八日、収賄や巨額財産の隠匿などの罪で死刑にされている。
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そもそも日本や米国ではミサイル防衛論議でも明らかなように、どんな兵器をどんな目
的でどれだけ導入するかなど防衛政策のプロセスは立法府などで明らかにされるが、中
国ではすべてが秘密のベールに覆われているのだ。
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このうち日本政府自身が〈北朝鮮に拉致された疑ひあり〉と認めてゐるのが七件十人、これを含めて現代コリ
ア研究所の調査によれば日本国内からの直接拉致が四十八人、ヨーロッパ等を旅行中に誘拐されて北朝鮮に
連行された者二十人、累計六十八人といふことになる。
日本国内から直接連行された被害者四十八人(調査過程で重複算定された例は一、二ある
かもしれないが)に限つてみても、この人々に加へられた危害が重大な人権蹂躙であることは明白である。また
日本国としては、国家構成要素の不可欠の一つである国民をその自国の領土内において拉致され、暴力を以
て国外に連れ去られたのであるから、これは歴とした国家主権侵害事件と受けとめるべきものであることもまた
明らかである。
国内で発生した「人道に対する罪」を断乎解明し裁断する意志も形成できないのに、外なる当の事件の犯人に
向けての人道的支援を唱へるといふ日本政府の矛盾は誰の眼にも明らかである。さうまでして日朝国交正常化
を強引に推進しようとする、日朝友好議員連盟を中心とする政府内の一部の動きに、我々は途方もなく胡散臭
い下心を感じとつてゐる。証拠を掴めない故に公にはその下心を糾弾できぬといふだけである。
国民が国外からの何か無法な暴力によつて生命と人権の危険に晒(さら)された時、現在の日本国は国民をた
のもしく保護してくれる父性的な国家ではなく、無力な国民個人個人は政府の安逸の犠牲となつて見捨てられる
−−、そんな諦めを抱いてゐる国民に口先で愛国心を説いても無駄である。政府よ、「人道的支援」は北朝鮮
にではなく、先づ我が民間の被拉致同胞救出運動に向けて発動せられよ。
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「北朝鮮は昨年のユーゴ空爆に学んだ。ハイテク戦争に北朝鮮の現在の技術はとうてい
及ばないということだ。また、テポドン発射で日本に学んだ。日本が北の脅威を強調すれ
ばするほどテポドンの“値段”がいかに高いものかを悟った。そこで戦略の変更が行われ
たとみるべきだ」とも指摘される。
金正日総書記の「自粛」発言は、中露両国に対米外交上の利点を与え、米国にはミサイ
ル協議の新たな取引材料となる。だが、北朝鮮は日韓を射程内に収めるノドン約百基をす
でに実戦配備しており、北東アジアの「北の脅威」と日本を取り巻く戦略環境に変化の兆し
はみえていない。
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北朝鮮における最高の規範は「金日成首領さまの革命思想で全社会を一色化するため身を捧げて闘争しなけ
ればならない」などという「唯一思想十大原則」で、これが変化しない限り北朝鮮の根本変化にはならないという
のが専門家たちの見方だ。
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北朝鮮の交渉パターンは三段階に分けることができる。南北対話、日朝協議へと至る今回の動きはその第一段階にあたる。この
段階の北朝鮮は新たな開放を何の前触れもなく示して周囲をあっと驚かせ、対話ムードを強くみせるのが特徴だ。
そして第二段階に入ると、北朝鮮は対話ムードへの対価を求め、歩み寄りに対する譲歩を執拗(しつよう)に求め始める。(ロシア
の)プーチン大統領を通じて行われたミサイル開発放棄の言動などはそうして対価を求めるフィーラー(探り)といってよいだろう。日朝
協議は第二段階にはいったとみてよい。北朝鮮は会談に応じたこと自体が譲歩という立場をとり、日本に何らかの見返りを要求す
ることが予想される。
問題は第三段階だ。いったん譲歩を得ると突然、対話をストップし、一方的に相手を非難し始めるのが常だからだ。日本にとって
懸案の拉致(らち)疑惑について北朝鮮は協議しないことを条件にしているが、日本は拉致疑惑を含めて、要求事項を明確に伝える
べきだ。
本当に北朝鮮が変化したというなら、日本の正当な要求を聞かざるを得ないはずだからだ。そうでないなら北朝鮮は変化していな
い。
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金正日総書記体制下の北朝鮮は国家目標として「社会主義強盛大国の建設」を主張している。その中身は「軍事大
国」「思想大国」「経済大国」だといっている。先ごろ発表された朝鮮労働党創建五十五周年スローガンでも明らかなよ
うに、北朝鮮は依然「軍事優先」を鮮明にしている。
また、金総書記は最近の韓国マスコミ社長団との会見でも「自分の力の源泉は軍事力だ」と断言しており、「軍事大
国」を目指しての核開発やミサイル開発を放棄することは決してないと見るべきだ。
「思想大国」は南北交流の一方で国内統制は強化するということだ。問題は「経済大国」で、これが最も難しい。
金総書記は先の会見で一九八〇年以来、開かれていない党大会を今年開催する予定だったが、南北情勢の急変で
延期したことを明らかにした。党大会開催の際には普通、新たな経済計画を発表しなければならない。党大会の延期
の背景には「経済大国」に向けた展望が立っていないことも影響しているとみられる。
この問題と密接に関係しているのが日本との関係改善だ。韓国に亡命した元朝鮮労働党書記の黄長●氏は金正日
政権の対日政策について「日本と国交正常化をして賠償金をもらうことが一番大きな目的だ」と語っている。つまり「経
済大国」化のためには日本からカネを引き出すことが不可欠というわけだ。したがって、日朝の早期国交正常化を必
要としているのは日本より北朝鮮ということになる。日本が焦ることはない。北がカードを出してくるのを待てばいい。
最近、金総書記は「自尊心を曲げてまで日本と国交正常化することは絶対ない」と言っているが、この発言は基本的
には韓国向けだろう。民族主義的な態度を強調することで韓国世論を引き付け、日本と韓国を離間させようという作戦
だ。交渉を前にことさら高姿勢を取るというのはよくあることだ。
外交交渉は最後は妥協だが、とくにスタートに際しては自らの原則を守ることが重要だ。
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北朝鮮は今回のトラブルをとらえて、米国の謝罪を引き出し、テロ支援国家の指定から
外させようとしたのではないかという見方も強い。金正日総書記は、米国が指定リストから外せば国交樹立
も可能、といった趣旨の発言もしていた。
今回の“事件”は、北朝鮮のしたたかな外交テクニックがあらわれたということではないか。
According to an essay smuggled
out of the communist North and obtained,the North Korean public has been
kept in the dark.
"They don't know what's been discussed
at the summit or what agreement both countries have reached," writes the
author,
a midlevel North Korean official.
国際社会で孤立を深める北朝鮮は、経済の悪化と食料不足に苦しんでいる。食料難による死者は、これまでに
少なくとも100万人にのぼる。そうした状況にあってもなお、120万の兵力を有し、日本と韓国を脅かすミサイルの
開発を進めるこの国が、きわめて危険な存在であることに変わりはない。
北朝鮮は軍事力の削減に同意していないし、
中東への武器輸出の停止や、テポドン開発の凍結を約束したわけでもない。中距離ミサイル「ノドン2号」(現在20
基がいつでも日本に発射できる状態にある)の撤去にも合意していない。
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日本国内には、北朝鮮との実質的な対話に入る前に北朝鮮による日本人拉致問題についての調査を要求すべ
きだという声が強い。しかし、北朝鮮が調査を受け入れるはずはない。拉致問題は確かに許しがたいことだし、調
査は必要だ。けれども外交が行き詰まりを見せている状態では、拉致問題の解決はありえない。
北朝鮮への経済支援も検討すべきだ。北朝鮮は、数十億ドル規模の経済支援を受けられるならミサイル輸出を
やめてもいいと表明している。法外な金額ではあるが、これで北朝鮮がミサイル開発計画を凍結するのなら検討
には値する。
こうした柔軟姿勢を打ち出す一方で、これまでよりも強力な「ムチ」を用意することも忘れてはならない。
一部の国会議員は日本単独の「先制攻撃能力」を整備すべきだと主張しているが、これは好ましくない。日本が
単独行動に走れば、韓国は中国に接近するだろうし、日米の同盟関係も弱体化する。
最良のムチは、安全保障政策で米韓との関係を緊密化することだ。一連の日米韓の高官レベルの安全保障協
議は、北朝鮮を激怒させた。だが、それは好ましいことだ。日米韓の結束は、北朝鮮に対する強力な抑止力にな
るだろう。
日本が使えるムチは、ほかにもある。日米安保体制と在日米軍の存在は、北朝鮮の軍事行動に制約を課してい
る。米軍基地を減らせと主張する日本の政治家がいるが、それは北朝鮮を危険な行動に駆り立てるだけだ。在日
米軍は日本にとって、対北朝鮮外交の重要なカードなのだ。その点を忘れてはいけない。
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現在の日本の防空体制では、ノドンには対応できな
い。
日本は、危機管理能力を高める必要もある。潜入した工作員による破壊工作をはじめとして、北朝鮮は日本に
対してさまざまなムチをもっている。
これまで長い間、日本では有事法制に関する議論がタブーだった。しかし各種世論調査によると、最近は日本国
民の大多数が、政府の危機管理能力を強化することに賛成している。
さきの米朝合意は、北朝鮮との関係改善へ向けての小さな一歩と言える。この歩みをさらに前進させるために、
あらゆる努力を惜しんではならない。
ただし、北朝鮮との劇的な関係改善はこれまで一度も実現していない。日本は、朝鮮半島の不安定化という暗
いシナリオにもそなえておく必要がある。
日本は長期的には、外交努力による現状打開をめざすべきだ。だがその外交は、抑止力を伴ってこそ意味があ
る。
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AP通信によると、報告書は南北首脳会談後も、北朝鮮側が武力統
一の方針を放棄した確固たる証拠はないと指摘。朝鮮半島で戦争が
起こる可能性には否定的な見解を示す一方で、「朝鮮半島が危険な地
域であることに変わりはない」とした。
また、北朝鮮では発電・配電や通信、交通網の状況が悪化してお
り、「北朝鮮経済が完全に崩壊する可能性も考慮せねばならない」と警
告。
半面、軍事用の備蓄石油を温存しているうえ、昨年一年間に長距離
ロケット砲などを軍事境界線付近に移動させ、戦闘機を増産するなど
軍備強化は続いているとし、「総兵力の七割に当たる約七十万人の部
隊をはじめ、八千の火砲、二千両の戦車が軍事境界線から百マイル
(百六十キロ)以内に集中している」と、韓国侵攻が可能な体制が取ら
れているとした。
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《「相互理解」への幻想》
河野氏や中平氏の意見は、北朝鮮についての現実的判断というより、むしろ、一切の強権的手段
を控え、何よりも「外交交渉」を通して「相互理解」を深め、「親善」の雰囲気さえ深めれば、「平和」が
実現するという戦後平和主義のイデオロギーに由来するものではなかろうか。この点、河野外相は
正直で、わが国には軍事力はないので、「相手を信用できるかどうか、好きか嫌いかを抜きにして同
じテーブルについて話し合う以外方法がない」と述べている(西岡力『金正日と金大中』)。
しかし、自衛隊を北朝鮮に派遣するといったことは別にしても、北朝鮮船舶の寄港制限や送金停
止など、実質的効果を持つそれなりの強権的手段は存在する。にもかかわらず、河野氏はとにもか
くにも「話し合い」による「相互理解」によって「友好」を深めることが重要だと考えるらしい。
しかし、「相互理解」から友好が深まるというのは、一つのイデオロギーに過ぎない。たとえば、か
つてのナチス・ドイツとソヴィエト連邦とが真に「相互理解」に努めたとして、たがいに不倶戴天(ふぐ
たいてん)の敵であることを確認しただけではなかろうか。
さらに問題なのは、戦後の平和主義には、憲法前文の「平和を愛する諸国民」という言葉や第九
条の規定に示されるように、世界各国は本来善良であり、平和攪乱(かくらん)者はむしろ日本だ、と
いう前提があるということである。
《強まる不気味な存在感》
そこから、一般のメディアのなかにも、北朝鮮が引き起こす数々の不祥事は、ひとえに北朝鮮自身
の問題というより、南北分断のためだ、その国際的孤立によるものだと強調し、果ては日本の植民
地支配の結果だ、日本も戦時中「強制連行」を行ったではないかといったことを言うむきまで出てく
る。「強制連行」については別に論じるべきことがあるが、そもそも、半世紀前の相手方への加害を
理由に、現在の自国民への犯罪を放置する国があるだろうか。
こうした論議のなかで進行しているのは何か。それは自国民の保護という国家の根本的な存在意
義についての感覚の希薄化であり、実体なき「友好」の雰囲気と引き換えに、同胞に対する深刻な
人権侵害を平気で黙認できる道徳的堕落である。それは、問題を直視することを避け、空虚な言葉
だけを弄(もてあそ)んできた戦後平和主義の精神的荒廃の帰結に他ならない。
もし、関係が「正常化」して国交が樹立されると、東京に北朝鮮の大使館が開設されるが、かの国
の各国の在外公館はこれまで麻薬や偽札の持ち込みといった事件をしばしば引き起こしている。し
かも、かの国は自国に都合の悪い報道をする言論機関を公然と脅迫している。
関係が「正常化」したからといって、この国のこうした体質が大きく変化するのだろうか。むしろ、こ
れまででさえ北朝鮮報道に及び腰であった日本のマスメディアの多くは、現在の韓国のマスメディア
と同様、かの国の不祥事の報道を極力控え、タブーとすり寄りの気分を強めるであろう。
その一方、国交樹立したからといって、日本側の現地での拉致事件の自由な調査が可能になると
は考えられない。かくして、拉致事件も不問のまま、核武装した北朝鮮は不気味な存在感をますま
す強めていくであろう。私は、日本の国民の多数は実際は道徳的により高級で、こうした「正常化」を
歓迎するとは思わない。政治業界も言論業界も一般国民の常識に従って、その精神をそれこそ正
常化しなければならない。
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彼らの対外政策の基本は、一貫して「弱者の脅迫」である。国が崩壊したら周囲の受ける
災難は大変だよ、暴発南進したらもっと大事だよ、援助をくれなければ核を持つよ、ミサイル
を撃つよ等々。本来長続きするはずのないこの奇妙で独善的な国家戦略を、アメリカ、韓
国、日本、そしていまでは中国、ロシアまでが競って受け入れている。となれば、平壌は当面
ますます変わることはなく、南北デタントという命綱(いのちづな)の信仰を謳歌(おうか)するに
ちがいない。テロ事件や拉致(らち)事件を認めなくたって、日本は無条件で五十万トンものコ
メをくれるではないか
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そうした国際環境をつくって日本にあせりを感じさせ、対日交渉を有利に運ぶというのが
北朝鮮の外交戦術であるからだ。北朝鮮はいま、外交的に「日本包囲網」を構築しようとしている。だ
からそれに乗ってはいけないのである。
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急いでいるのが北朝鮮だとすると、北朝鮮からまずカードが
示される。それを見ながらじっくり判断すればいい。
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歴史的に一九四五年までの日本統治下で、戦時を中心に彼の地の人びとに犠牲を強い、苦労をか
けたことに対する応分の申し訳ない気持ちや感謝、そして償いの意を表することは日本として必要であ
る。しかし日本統治あるいは支配の歴史についても、日本の立場がある。
たとえば世界史的に見て、いわゆる植民地支配そのことに対して旧宗主国が国家として謝罪・反省・
補償した例は聞かない。それでも日本は謝罪・反省・補償をすべきというのなら、何に対しなぜというこ
とをあらためて真剣に考え、議論すべきである。だから韓国との国交交渉は十四年かかった。
さらに問題がある。それは現在の日本人が共有する価値観を失い、またおよそ愛国心も失ってしまったことであり、祖先と子
孫に対する現在の世代の責任感も喪失してしまったことである。
日夜集票活動をするため、精力をすり減らしている議員が、いきなり例えば複雑困難な国際金融問題を担当しても、立派な成
果を上げられるはずもない。いつ危機的事態に直面するか分からないのに、軍事情勢に素人の長官に我が国の防衛の指揮を
委ねることは恐ろしいことではないか。
「少しでも種子が残りさへすれば」、この思いが戦争を終結させ、戦後復興の初志でもあった。昭和天皇は復興の「種子」を残すため
に敢(あ)えて敗戦を決意されたのである。
あれから五十五年、あの時の「種子」はどう育ったか。
現在、領土問題を棚上げしてまでロシアとの間に平和条約を結ぼうと主張する野中広務自民党幹事長のような政治家がいる。この
手の政治家は「平和」「友好」という美辞麗句に幻惑されてか、領土がどのようにして奪われたのかがわからなくなっている。
敗戦から五日後の昭和二十年八月二十日、ソ連軍は突如として樺太に侵攻した。日本軍は軍使を派遣して白旗を掲げ停戦協定を
結ぼうとしたが、ソ連軍は軍使全員を虐殺してなお侵攻した。このとき真岡電話局に勤務していた女子職員九人がソ連軍の侵攻してく
る直前まで職務をまっとうし、「皆さん、これが最後です、さやうなら、さやうなら」の電文を打った後、青酸カリを飲んで命を絶った。
樺太を遥かに望む北海道稚内公園にこの「九人の乙女の像」が建っている。昭和四十三年、この地を訪れ、この話を聞かれた昭和
天皇は「樺太に命をすてしたをやめのこころ思へば胸せまりくる」という歌を詠み、彼女らの霊を慰められた。
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アメリカは自らのリーダーシップを支える日本の「リーダーシップ」を望んでいるだけで、それに反するリーダーシップは望んでいないのである。
それを最も明確に示す例が、日本が提案した「アジア通貨基金」構想だ。日本政府が示した案は、アジア諸国の経済的安定に真に役立つものだった。ところが、アメリカ政府とアメリカ主導の国際機関が、この提案をたたきつぶした(後に日本は、構想の一部を「宮沢基金」として実現させた)。
経済開発問題で日本が主導権を握ることにアメリカが抵抗する理由は2つある。この分野での世界のリーダー役を守ろうとする意識と、経済哲学における本質的相違だ。
今からでもまだ遅くはない
だからこそ、マスコミや親たちが20年前からずっといじめの問題を訴え続けてきたにもかかわらず、その原因である社会のあり方そのものを変えようという試みはまったくなされてこな
かった。世界が2000年を迎えたときに、1950年代にプログラムされた安全保障のシステムを日本がいまだに使い続けているのも、同じ理由からだろう。
人類がコンピュータの2000年問題に気づくまでには、数十年を要した。ことの重大さに気づいた一握りの人々が周囲の人々を動かすのに、さらに数年がかかった。だが最終的には、
大がかりな対策が講じられたおかげで、間一髪で難を逃れることができた。
今ならまだ、日本は自らのOSのバグを修正することができる。徹底的に検証した結果、「パックマン」のような古き良きゲームのいくつかは残すべきだという結論に達するかもしれな
い。だが、時代遅れの古いソフトをすべてこれまでどおりに使い続ければいいと考える人がいたら、考え直したほうがいい。
古いシステムがクラッシュしてからでは、取り返しはつかないのだから。
「在日」などの永住外国人に地方参政権(選挙権)を付与すべきだとの、わが国の一部に見られる意見は、いかにも開明主義
的だ。だが、そうすることは現行憲法違反の疑いが濃厚である。
日常性のみを見れば、この議論はもっともらしく響く。しかし、参政権問題となると、国民生活の非日常性の側面への目配りを
欠かすことはできない。そこでいきおい、議論は国家論となる。
国家は変容期にあるといわれる。だが、国家究極の責任が国民の生命財産、そして生活を守ることにあるのは、今後も変わ
らない。それを国家の安全保障責任と呼ぼう。国家がこの責任を全うするには、国民の貢献が不可欠だ。そこで国家は各種の
権利を国民に保証する一方で義務を課す。国家の求める義務を十全に(、、、)引き受け得るのは当該国民だけだ。ところが、
「大きな権利、小さな義務」と揶揄(やゆ)される特殊な日本国憲法の下では、義務の領域のひろがりが見えにくい。とくに開明
主義者の場合にそうだ。それを先に「暗やみ」と呼んだ。
一般的に国家の課す義務の中で最過酷、したがって最も非日常的なのは、同胞を守るため自らの身命をなげうつ義務、端的
には兵役義務である。幸か不幸か、一九四六年以降の日本では、憲法上、この最過酷な国民的義務がない。だが、世界の多
くの国家がこの義務なしでは存立し得ない以上、わが国ではそれが姿を変えてどこかに隠されているはずだ。
暗やみを見ない開明主義者のために言うが、平和日本の国民が負う最過酷、最も非日常的な義務とは、自らが選ぶ選良や
政府を通じて有事に際し自衛隊に「同胞を守るために死ね」と命じることなのだ。この非日常的責務を果たし得るのは国民だ
け。永住外国人ではできない。
安全保障に関して「地方」が国と有機的な一体性をなすことは、都道府県の長の要請を受けて政府が自衛隊に災害出動を命
じる実例に如実だが、日米新ガイドラインの下、都道府県以下のレベルでも地方自治体が国の安保政策に影響を及ぼし得るこ
とは一層明瞭になった。だから、永住外国人への地方参政権付与ならばわが国の安全保障への影響はないと言うのはウソで
ある。
永住外国人が納税義務を果たしているのを多としよう。だが、それは日常的性格の義務なのであり、しかも、付加価値税や消
費税の一般化した今日、海外からの観光客でさえわが国の税収に貢献している。これでも分かるように、納税は最過酷義務で
はない。だから、その履行を楯に、たとえ「地方」であれ、参政権付与を言うのは行き過ぎだ。
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開明主義者は外国人への参政権付与に関し北欧の例を強調する。だが、それはむしろ例外的であり、「国際的潮流」ではな
い。逆に、なにかにつけ日本と比較されがちなドイツの例なぞは開明主義者への論駁材料となる。
連邦たるドイツではEU(欧州連合)議会選挙のほか、国政選挙、州選挙、市町村レベルの選挙がある。地方参政権にも二ラン
クあるわけだ。長期在住外国人についても、平易に表現すると、EUの「域内外国人」と「域外外国人」の区別がある。
「域外外国人」にはいずれのレベルの参政権も付与されない。他方、欧州建設を目指すドイツにとり「域内外国人」とはいわば
「準同胞」だ。彼らがドイツ在住の場合、EU選挙で選挙権、被選挙権を有するのは不思議ではない。ところが、ドイツの地方選
挙では「準同胞」といえども市町村レベルの参政権しか持たず、州議会選挙からは締め出される。なぜか。
州議会選挙を踏まえて成立する州政府は、連邦参議院の構成主体として国の安全保障政策形成に参画する。州議会そのも
のは、非常事態対処のため、すでに平時にあって設置される連邦衆議院との合同委員会に代表を派遣する。最過酷な国民的
義務たる兵役義務を堅持する国とあっては、これほどの安全保障責務を担う州機関の選挙に「国民」以外の要素を参加させる
わけにはいかない。「準同胞」でさえもが排除される。
長期在住外国人、とくにトルコ系をどう社会的に統合するかは、ドイツにとっても難問だ。そこでドイツは昨年、伝統的な血統主
義の国籍法に出生地主義を採り入れる大改正を行った(本年初頭に発効)。長期在住外国人のドイツ国籍取得要件がこれで大
幅に緩和された。外国人に参政権を、の発想ではなく、参政権付与に値する外国人にはむしろドイツ国民となる道を選ばせよう
というのである。わが国流に言えば帰化の奨めだ。トルコ人からドイツ国民になった連邦衆議院議員が、この帰化促進の立法
化に汗をかいていたのが印象的である。
有事に政府の行動縛らないか
永住外国人参政権の問題を議論する際、冷静に見据えておくべきは、「有事」への配慮である。
そして、外国人参政権付与に対する異論が、たんなる排外主義感情の発露であるとの誤解を避けるためにも、このような配
慮は、意識的に行われるべきことである。
わが国に多くの外国人が居住すること自体は、わが国が諸外国に対して
「ひき付けるもの」を持っていることを意味しているのであれば、決して歓迎されざることではないからである。
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「グローバリゼーション」の進展、あるいは国際社会におけるわが国の位置を前にすれば、今後、永住外国人と呼ばれる
人々は、増加していくのであろう。その流れの中で、「国家の役割」のありようを議論し、その「国家の役割」を具体的に担うの
がだれかを見極めるのは、相当な緊張を余儀なくするものであることには違いない。然るに、永住外国人地方選挙権付与法
案を巡る従来の議論からは、そのような緊張を感じ取ることは、率直にいえば難しい。浮かび上がるのは、「他国と波風を立
てたくない」といった覇気に欠ける雰囲気であるか、あるいは「人権は大事だ」というだれも異論を唱えない大義に頼ろうとする
知的に弛緩(しかん)した雰囲気である。そして、この点にも、「国家」の意義を徹底的に軽視してきた戦後・日本の来歴が、
反映されているのであろう。
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自民党の野中広務幹事長は永住外国人の地方参政権問題で、参政権付与の対象を朝鮮半島から「強制連行」され
た外国人と子孫に限定する考えを示唆した。しかし、「強制連行」については、誤った歴史認識が独り歩きしており、こ
れを外国人参政権問題と結びつける野中氏の考えには賛成できない。
永住外国人の地方参政権問題を機に、朝鮮人強制連行説についても、冷静に検証してみる必要がある。
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参政権付与は自民、公明、保守の三党合意をたてに公明党が強く主張し、これに自民党執行部の一部などが、連
立維持の政略的思惑から呼応している側面が目立つ。
参院選挙制度改革も一部の自民党幹部が公明党と連動した
のが、ご都合主義の法案が急浮上したきっかけであった。
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森喜朗首相と韓国の金大中大統領は二十三日午後、静岡県熱海
市の「あたみ百万石ホテル」で会談した。大統領は永住外国人への
地方参政権付与問題について、改めて法案の年内成立を求めたが、
首相は「わが国の根幹にかかわる制度であり、さまざまな意見があ
る」と反対論が根強いことを説明するとともに、「関心を持って注意を払
っていきたい」と述べ、国会審議の行方を見守る姿勢を示すにとどまっ
た。
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山崎拓
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「山崎拓の時々刻々」 2000年9月18日
第13号
■ 金メダルとナショナリズム ■
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シドニー・オリンピックの競技初日に、日本は幸先よく金メダル二つを獲得。
とりわけ、柔道一直線の青春を送った私にとり、同郷(福岡)の柔ちゃんこと
田村亮子選手の金メダルは何よりもうれしいことでした。ケガにも負けない
精神力、8年間の悔しさをバネに勝ち取った快挙に心から拍手を送ります。
決してあきらめることなく目標に向かって努力し続け、とうとう夢を実現した
田村選手の姿に、同じ日本人として励まされたのは私だけではないと思います。
日本人がオリンピックでの日本人選手の活躍を喜ぶことに異論を唱える人は
いないでしょう。自分たちの国が生んだヒーローに対して誇りと自信を感じる
ことは、ごくごく自然な愛国心のあらわれといえます。
とかく現在の日本では「愛国心」や「国益」という言葉を口にすると、
タカ派というレッテルを貼られがちです。戦後教育の弊害の一部に「反権力」
「国家と個人は対立概念」との価値観のもと「愛国心」が歪められてきたこと
があります。グローバリズムの時代だから「国益」中心に考えるのはよくない
こと、といった風潮があるような気がします。
しかし、ナショナリズム(国家主義)とファシズム(国粋主義)はまったく
異質のものです。健全なナショナリズムなしに国際化や国際貢献を唱えても、
国としての存在価値がなく、他国から一目おかれ信頼される国にはなれません。
外交においては、たとえ波風が立とうとも日本の国益に沿ってきちんと主張し
そのかわり一旦合意したことは必ず実行する、そういった姿勢なしには
対等な友好関係は築けないのです。
いうまでもないことですが、「国益(=国民の利益と安全)」を守ることは、
われわれ政治家のもっとも重要な使命であり責務です。
たとえば、今週からはじまる臨時国会での取り扱いが論議をよんでいる
永住外国人の地方参政権付与問題ですが、私は今国会での法案成立に反対の
立場をとることにしました。地域社会に住む人々がその地域の意思決定プロ
セスに参加するのは当然という主張ももっともな点があり、正直言って長い間
悩んだ末の結論です。ただ、現在の議論をみると理念に照らしての是非という
より、政権維持のために必ずしも十分な議論がされないまま話が進行しており、
拙速は避けるべきです。
地方自治といっても、国益に関係する場面が必ず出てきます。
災害時に自衛隊が出動するにも、日本周辺(朝鮮半島など)で
日本の安全に影響を及ぼす事態が起きたときに出動する米艦船の港湾使用や
米軍機の空港使用にも地方自治体の同意が前提となっています。
国民は国によって守られる権利があると同時に、国の安全保障政策に協力する
義務があります。長期間日本で暮らしていても日本国籍をとらなければその
義務は生じません。であれば、安全保障に影響を及ぼす問題につき発言権を
もつことはできないのが筋でしょう。逆に、外国人でもその義務を果たす
コミットメントをおもちの方には、ぜひ日本国籍を取得していただきたい。
この議論はあくまでも、帰化という法的ルールがあるのに、あえて
外国人のままでいることを選択している人々の参政権についてのものです。
(もちろん帰化の条件緩和や手続きの簡素化は必要でしょう。)
また、これからの日本社会はもっと外国人に門戸を開かざるをえません。
外国人の参政権については、在日韓国・朝鮮人に対する民族差別という
観点だけでなく、今後増加するであろう様々な国籍の外国人についても
視野に入れる必要があり、その点についても十分な議論が必要です。
一部判例に基づき、憲法上の疑義はなし、とする意見もありますが
参政権は国民固有の権利とする憲法15条の規定は国際社会でも普遍的で
地方自治レベルでも外国人に参政権を認めている国は、スエーデン、
デンマークなど少数にとどまっています。
賛成・推進意見や、先に述べた懸念点をクリアできる方策があれば
もちろん耳を傾けるつもりでいますが、慎重な議論なしに安易に結論を
出せば、日本の将来に禍根を残すことははっきりしています。
このような「国益」に関わる重要案件につき結論を急ぐことだけは
避けなければならないと考えます。
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