地域コミュニティ・情報化による個人活性型社会への提言


●主催・後援
ネットワーク・コミュニティー・フォーラム’97(NCF’97)
●内容
日本の各地や海外から地域コミュニティの現状や課題を報告してもらい、グローバルな視点で地域における情報化や新しいライフスタイルなど、パネルディスカッション形式でその具体的な事例や将来に対して熱い議論を展開する。テレビ会議システムを使って会場と仙台や東京などとも結ぶ。
●日時
 2月4日(水) 18:00〜20:00
 札幌パークホテル 3F「エメラルド」
●講師又はパネリスト
山本強(北海道大学大型計算機センター=札幌)
宮田昌利(スマートリバープロジェクト事務局/サンエスマネジメントシステムズ代表取締役)
北岡和義(Japan America Television,Inc.=ロスアンゼルス)
岡林哲夫(地域振興整備公団地方拠点振興部=東京)
辻久雄(NTTマルチメディアネットワーク研究所=神奈川)
近藤則子(シルバーネット=仙台)
モデレーター 桝谷稔(NCF運営副委員長)

●WEB再録
 
No.31 98年02月04日 19時10分
  
●桝谷 
  
 さて、地域活性化とネットワークコミュニティについてこれから熱い議論を展開していきましょう。今日はこの会場に、北大からNCF議長の山本先生、アメリカでCATV向け番組会社を経営しているジャーナリストの北岡さん、NTTマルチメディアネットワーク研究所の辻さん、釧路スマートリバープロジェクトの宮田さんをお迎えしています。また、テレビ会議で東京からグロコムの岡林さんと公文先生、仙台からシルバーネットの近藤さんが参加されます。司会はわたしNCF運営副委員長の桝谷でございます。 
 それでは、まずみなさん自己紹介を兼ねて第一発目のコメントをお願いします。


No.32 98年02月04日 19時11分
  
●山本 
  
 北海道大学でマルチメディアやCGを中心に研究しております。最近は、ネットワークを活用して地域、業種、年代を超えて地域活性化に取り組むネットワークコミュニティフォーラム(NCF)の議長もつとめております。NCFの取り組みは、リアルワールドと連携しながら、立場を超えた横のつながりを強化して進めていますが、その中からはいくつかの新しい動きも出てきています。
 これまでは‘地縁‘という物理的なつながりが大切にされてきましたが、これからはネットワークを生かした‘智縁‘という関係も重要になってくるのではないでしょうか。

No.33 98年02月04日 19時12分
●北岡   
 1965年から70年まで北海道で新聞記者をやり、それから横路知事の秘書を経てその後アメリカに渡った。現在はアメリカ西海岸のロサンゼルスからサンノゼを中心にしたCATVや地上波テレビ向けの番組制作会社を運営している。内容は現地日本人のためのニュース・報道番組で、トヨタなど現地日本企業の協賛もいただいている(ここでホームページから北岡さんの番組をリアルビデオで紹介)。 
 さて、日本は情報化の面において、アメリカに比べて15年ぐらい遅れた状況なのではないだろうかと思っている。どういうことかと言うと、例えば全米をあげて推進するゴアの情報スーパーハイウェーの登場の裏には、シリコンバレー地区の人々の強烈なロビー活動があった。同地区では、ネットデイと呼ばれる、エリア内のすべての学校をインターネットに接続しよう、というプロジェクトがあるが、これは行政のお金ではなくて、民間のボランティアによって推進されている。 
 政府に頼らず、自分達の力で地域を革新する気概や実行力が彼らにはあるということだ。技術では日本はアメリカと大差がないとしても、15年遅れているのではと言ったのはそうした仕組み、状況のことなのだ。

No.34 98年02月04日 19時13分
  
●辻 
  
 横須賀から参りましたNTTマルチメディアネットワーク研究所の辻です。光ファイバに関する研究を担当しておりますが、最近は利用者ニーズという面から‘地域LAN‘という考え方を提唱しています。
 地域の生活圏に根ざした情報共有のニーズは、企業グループから主婦のグループまで多層的に考えられますが、ハードウエア的には1本の光ファイバで構築することができます。実際に家庭に光ファイバを引き込んでホームネットワークについて実験してみると、子供のいる主婦がもっとも活用しているということがわかります。今後も情報共有のニーズに促したインフラの整備を進めていきたいと考えています。

No.35 98年02月04日 19時14分
  
●宮田 
  
 ネットワークコミュニティフォーラムの活動に共感して、釧根地域活性化のためのネットワーク作りをと考え、‘スマートリバー‘プロジェクトを推進しています。まずはダイアルアップのインターネット接続環境を地域で整備しながら、東京に集中しているインターネットのエクスチェンジポイントを、地域で協力して構築しています。議長は釧路公立大学の学長と商工会議所の議長の2人が代表を務めております。また、テレビのデータ放送を石油の広報に利用する事業や、LiveTextプロジェクトにも積極的に参加しています。これらのプロジェクトは、北海道内の企業、官公庁が協力して進めており、北海道型ともいうべき共同プロジェクトの形態ができあがろうとしています。

No.36 98年02月04日 19時16分
●岡林/地域振興整備公団 
 工業団地の振興に携わっている。北海道では旭川や千歳、それから長野県ではみなさまご存知の山田村と交流が深い。山田村では地域情報化が確実に根付き、そして育っている。大事なことは、情報化を現場で推進するリーダーの存在なのだということを実感している。
 山田村の例では、中学の先生が子供にパソコン通信をさせたくて役場に提案したのをきっかけに、自治体がサポートして大規模なインターネット環境を整備していった。縦割りという批判はわかりやすいが、日本ではその構造をうまく利用する下地もまたできていると思う。 

●公文/国際大学
 情報化を推進する上で重要視しているのは各地域レベルにあわせた情報基盤の整備、そしてその上に展開されるアプリケーションやサービスの推進。そして一番大事なのはそれらを推進する人々を支援する体制づくりである。それがCAN(コミュニティ・エリア・ネットワーク)の考え方である。NCFともどんどん連携していきたい。


No.37 98年02月04日 19時24分
  
●近藤 
 私自身、家族で高齢者を抱えていることもあり、これからの高齢者社会に向けて地域でできることは何かを考えています。アメリカでは、パソコンを持たなくてもネットワークにアクセスできる環境を地域単位で用意しているところもあります。 
 日本でこのような取り組みができないかと郵政省通信政策局情報企画課の研究会で提案したところ、郵便局でやってみましょうということになり、東京の深川郵便局をかわきりに情報の広場ができました。
 官公庁を含むプロジェクトを進めるためには、私のような肩書きのない普通の主婦が、まとめ役することが大切だと思います。行政も民間も、高齢化社会に対する危機感では共通しており、その面で強い協力意識が仙台では生まれています。

No.38 98年02月04日 19時26分
  
●情報化でわたしたちは何が出来るのか? 
  
●桝谷 
 今、われわれが情報化を通じて具体的に何が出来るのかをこれから議論していきたい。 

●山本 
 はい。何ができるかの前にまずインターネットで何が変わったのかを考えると、それほど変わっていないことに気づく。しいてあげれば、コミュニケーションの範囲が広がったことだろうか。では、ネットワーク社会の未来像を比喩的に言えば「持っていることを意識しないネットワーク、あるいは情報端末」である。例えば衣服のような、例えば台所の冷蔵庫が実はネットワークにつながっていたり、と言ったような。


No.40 98年02月04日 19時30分
  
●辻 
  
 広帯域、高性能の情報環境に支えられた情報化よりも、多少貧弱であったとしても複数の情報システム・サービスが結合したようなスタイルの情報化がわたしは良いと考えている。
 また、地域LANという視点で考えると、いろいろなアイディアはやる気のあるユーザ側から出てくるので、エンジニア側があまり口を出さない方がうまく進むという面がある。
 地域情報化には三つの要素が欠かせないと実感している。 
  1.パブリック(行政) 
  2.ビジネス(企業) 
  3.ホーム(市民) 
この三つのセクターがそれぞれ動いて、更に相互に噛み合って動くと成功する。

No.41 98年02月04日 19時32分
  
●宮田 
  
 私は北海道に戻ってきて12年目になりますが、当時は町おこしが盛んで、団塊の世代を中心にいろいろなイベントに取り組んでいました。しかし、イベントは毎年やらなければならないので、一種のブームで終わってしまったと思います。 
 田舎では特に挑戦する気持ちがなくなっていると思います。しかし、最近のインターネットを中心としたコミュニティはそれよりも10年以上若い世代が中心となっている。大切なのは、情報をもらってばかりではなく自分から主体的に行動することです。
  スマートリバープロジェクトで取り組んでいる地域IXや石油広報事業には、北海道通産局の協力はあるが釧路市役所は直接関与していません。しかし、何かをやろうという人たちが結びつけば様々な支援はついてくるはずで、そうした成功事例を作っていくことが重要だと思っています。

No.43 98年02月04日 19時41分
●桝谷 
今、日本または北海道が取り組まなければならないことは?

●山本   
 日本の行政には機会均等と平等の原則があるが、情報化に関してはそれでは駄目だ。では、日本はもう駄目なのかというとそうでもない。例えば大学間の情報ネットワーク化は遅れていたものが気がつくと「あっ」という間に完了した。同じことは地上波テレビネットワークの圧倒的な普及にも言える(放送行政による規制により)。アメリカでは規制が緩くて地上波が完備されていない代りにCATVが普及した。それを今、彼らはスーパーハイウェーとして利用しようとしている。逆に日本では地上波データ放送を強みとして育てることかできるかもしれない。
 要するに自分達の強みを更に伸ばしていく発想に立てば良いのです。


No.44 98年02月04日 19時46分
  
●北岡  
 アメリカはコンピュータ化が日本よりかなり進んでいる。その取り組みの1つに、スマートバレープロジェクトがあり、92年から5年間続いた。しかし、例えばテレコミューティングが発達して仕事は増えたが給料は逆に減っていたり、交通渋滞が増えている部分もあり、この辺で一度、見直す時期にきていると思う。
 わたしは今の日本の最大の「壁」は、縦形の組織が横につながっていかないことだと思う。日本では「平等」という言葉が誤解されている。アメリカでは、競争や参入などだれもが平等にチャレンジできるという意味なのだが、日本では結果の平等を意味する。これでは改革する「やる気」が出てこない。
 「行政は何をする、民間が何をする」という視点がそもそもおかしく、これからの北海道を考えた場合‘俺がこれをやるから金を出せ‘というくらい、自分達がイニシアティブを取ってものごとに取り組んでいくことが大切だ。

No.50 98年02月04日 20時14分
●桝谷
今後1年に何が起こるか、何をしていくか?  
山本:
インターネット環境を経験した大学生が社会に出て、仕事や家庭にゆっくりと普及していく。 
北岡:
ロサンゼルスで全世界の日本人向けにインターネットでニュース配信する会社を作る。具体的に取り組んでいくことが必要だ。 
辻:
商店街のネットワーク化には、エンドユーザの視点とともに、経営者側の視点にたったビジネスの可能性があると思う。 
宮田:
具体的なビジネスを1つでも成功させたい。 
岡林:
地域ごとの小さな動きをまとめて、大きな流れにしていきたい。 
近藤:
ネットワークを使った女性と高齢者向けビジネスが成り立つようになるとおもう。

No.48 98年02月04日 20時01分
  
●桝谷 
  
 もともと地域には個性があり、格差もある。行政主導、民間主導というのではなく、コラボレーションを通じて、お互いに強力しながら具体的に取り組むことが必要だというのが、今日の結論だと思います。