朝の会で記事討論/説得する力育てる 由仁町立由仁小学校 柳谷 直明 先生

 私の受け持つ六年生の学級では、学年の初めから「話すこと・聞くこと」の国語授業を週一時間程度、行ってきました。2002年度からの新学習指導要領に新設された領域です。

 まず、スピーチや対話、パネル・ディスカッションなどを国語の授業の中で行いました。その結果、下原稿を書かず、メモだけで、しかもそれさえ見ないでスピーチができるようになってきました。

 しかし、どうも形式的なスピーチから抜け切らないので、相手を説得させる話し合いの方法を考えました。それが「グループ・ニュース・バトル」です。

 私は、子供たちに次のように指示しました。

 「明日の朝から、班で討論をします。話題は、新聞記事です。その日か前日のニュースの中で、これこそ一番だと思うものを家庭学習ノートに張り、意見をメモしてくること。そして朝の会の時に、三分間で主張し合いましょう。まず、班で行います。次に、班の中で一番説得力のあった人を選び、代表者でバトルします。どの班が一番か決めましょう。しっかり、新聞を読んできてください」

 こうして、二学期から「グループ・ニュース・バトル」は始まりました。毎朝、子供たちは、自分の意見や新聞に対する感想を、わいわいと楽しそうに述べ合っています。例えばこうです。

 「きのうの新聞に『ストーカーを禁止する法律』のことが書かれていました。皆さんはストーカーが怖くありませんか。自分の近くにストーカーがいたらどうしますか。そんな怖いストーカーを禁止する法律ができたのです。これでストーカーがいなくなるとは思いません。でも、禁止する法律ができたということはとてもいいことです。これこそきのうの記事で一番です」

 続く子は、駅の案内表示などに絵文字を使って「バリアフリー」を進めるという記事を取り上げ「絵文字をどんどん増やして、みんなが住みやすくしようとがんばっているのはすばらしい」と主張します。フランスの狂牛病のニュースから「牛肉を食べられなくなったらどうする」と心配する子、ゴルフのタイガー・ウッズの強さに目を見張る子…。関心の対象はさまざまです。

 この授業の問題点は二つあります。一つは、自分の主張が強くなるため、相手の話を聞かなくなりがちなことです。そこで、「人が話をしている間は口を閉じる。話したいのなら、まず聞いてください」という約束を決めました。

 二つ目は、どうしても話すのが得意な子が班の代表に選ばれ、いつも選ばれない子が出ることです。「今日は、今まで選ばれていない人の日」などの工夫が必要かもしれません。これは今後の課題です。

 新聞を読むようになって友達同士の話題も増えた、と好評なニュース・バトルのこれからが楽しみです。

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