記事内容を地図に/森の危機とも直面 札幌市立平岡中央中学校 山本 真司 先生

 本校では朝の学活に「今日のニュース」コーナーを設けている学級が多くあります。そうした学級では発表する生徒の視点に立ってさまざまなニュースが紹介されています。私も授業によく新聞を持ち込みます。以前に実践した三年の公民的分野で、同じ事件でも各紙で微妙に表現や扱いが違っていることを学んだ授業が記憶に残っています。

 灯油取引の談合が話題になっているときでした。私が教室に持っていった新聞の見出しを見た生徒の一人が「あれ、ウチで読んだ新聞と違うぞ」と気付いたのです。さっそく全員で新聞各紙を集めて比べて見ました。なるほど価格についても「高い」とする社、「まあ妥当」と受け止める社など、それぞれ微妙な違いが出ています。そこで道庁に問い合わせ、記事の元になった道のコメントを取り寄せて検討して見ました。結論は「すべて間違いではないけど、各社の判断、分析から違いが出てくる」というものでした。表現の自由や、情報を受ける側の判断能力の大切さを考えるよいきっかけになった授業だったと思い出します。

 でも一年生では、新聞はテレビ欄しか見ないという生徒が当たり前です。情報の缶詰である新聞をとにかく読ませたい。地理的分野の学習が日常生活に役立つことに気づかせたい。そんな思いで計画したのが「私の北海道・新聞でもっと詳しく知ろう」です。

 学習のねらいは「新聞記事から道内のさまざまな出来事を知り、すでに学習したこととの関連を考えたり、新たな疑問や課題をみつける」ことでした。

 実践は北海道単元のまとめで、生徒が各自一部ずつ新聞を手にして道内関係の記事をみつけ、大まかな内容と関係地域を地図に記入していく。そして学習内容に関連したことと、はじめて知ったことの二点に分けてみるというものです。

 これは大変面白い実践になりました。授業中には「弟子屈ってどう読むの?」といった、なんとも素朴な声が多かったのですが、仕上がった地図には「北海道でも森林が減っているのは知っていたけど、植樹が追いつかないほどだったとは…」「栄養素を含めた海のさまざまなデータもiモードで提供されていたのか。漁業はここまでスゴイことをしているんだ!」「北海道は大豆生産日本一、おじいちゃんが住んでいる長沼は大豆の生産北海道一になった」などの新鮮な驚きに満ちた文章があふれていました。また「新聞って面白いな、家でも読もう」といった声も多く挙がって、こちらとしては「しめしめ」です。

 ただ、活動時間が三時間ほどしかとれず、作業のおそい生徒には少し忙しい思いをさせてしまいました。それでも、二度三度と継続することでそうした点は解消され、学習もより深まると思います。次は、日本地図を使って全国版の記事に挑戦させたいと考えています。

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