学校祭で展示発表/ユニークなテーマも 札幌市立幌東中学校 高橋 伸充先生

 学校祭。多くの中学校で行われる秋の大きな行事だ。私の在籍している学校は九月下旬から十月にかけてがその時期だから、準備は夏休み明けそうそうから始まる。

 ほぼ各校に共通している内容は、クラスごとにテーマに沿ったステージ発表や展示発表に取り組む。学級のまとまりや団結力を高め、学年の交流をすすめる大切な活動だ。学校祭は本来、生徒を主役に生徒の発想で進行するのが望ましい。とはいうものの三年の学級担任としては、教育効果をあげるためには生徒に任せきりで全く放任するわけにはいかない。なにを学級テーマにしようか、どう指導するか、毎年悩むところだ。

 幸い学校が二年目のNIE実践校に認定されたことから、新しい試みで新聞を使った展示発表を企画した。生徒たちが新聞に関するさまざまな知識を身に付け、自らが活用するための手助けにさせたいとの願いだった。

 私の提案に、最初は渋ってのってこなかった生徒たちだったが、グループごとに発表内容について話し合いを重ね、班ごとのテーマを固めていくにつれ積極的に分担し、調べ、発表用の展示物作成にかかっていった。

 選んだテーマを二、三紹介しよう。「同じ日付の六紙のトップ記事比較」「社説、コラム欄の紹介、比較」といった常道を行くものから「天気図の毎日連続切り抜き」「海外の新聞コレクション」や「各社の四コマ漫画を比較」さらには「一カ月分の折り込み広告量調べ」といったユニークなテーマも出てきた。

 材料は学校祭の前一カ月の日刊六紙。六種類もの新聞を同時に一カ月も見るのは初めての生徒たちは、それだけで関心が高まり、毎朝、配達された新聞を教室に運んでくる日直を待ち構えて必要部分をチェックしていた。班によっては、海外の新聞を扱っていそうな書店めぐりをしたり、国際交流センターを訪ねて各国の新聞を譲り受けるなど生徒自らが楽しみながら活動を進めていく。

 とかくお祭り騒ぎ的な内容になりがちな学校祭では、生徒たちもいわゆる「ウケる」「楽しい」内容を好みがちであるため、新聞をテーマにすることに最初は乗り気でなかった。

 だが実際に取り組んでみると、それまで知らなかったことを知り、楽しさを見つけた生徒たちは、こんどは自分たちから考えて展示物を作り上げていった。間違いなく、新聞が生徒たちの積極性を引き出していったのだと思う。

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