環境問題調べまとめ/伸びた表現力 北見市立北光小学校 鈴木 孝子 先生

 昨年度まで、国語の表現力育成を全校の研究テーマとしていましたが、それと併せて新聞を活用した実践を取り入れました。

 リアルタイムに報道される新聞記事を題材として、自分の考えを表現することは、日常生活で情報を生かす力を養うことになると考えたからです。

 六年生の理科の学習では「生物とその環境」の分野の総合的単元を設定しました。自らの課題解決のために必要な情報を、図書館の本や新聞記事、インターネットから集め、一人ひとりが壁新聞にまとめ上げていったのです。地球規模で環境をとらえ、問題を見いだし、さらに「今、私たちにできることは何か」という新たな課題を見つける過程で、子供たちの表現力は目を見張るほど伸びました。

 本年度の六年生の研究テーマは「情報をまとめ、個々の知識に生かしていく力の育成」です。

 その一つに、福祉マップの作製を通して社会福祉への関心を高め、みずから進んで地域社会に働きかけ、参加する姿勢を身につけるという課題があります。タイムリーなことに、北海道新聞「読者の声」欄に、車いすを利用する七歳の少女の投稿記事が掲載されました。

 少女は、「動物園への遠足で地下鉄を利用する。駅にはエレベーターがないので、今はお母さんが階段をだっこしてくれている。でも、私が大きくなって、お母さんがだっこできなくなったらどうしよう」と心配しています。でも、子供たちはこの少女の心配をなかなか切実に受け止めることができません。そこでこの記事を、福祉に関心を持たせる導入に活用したのです。

 また、道新生活面の特集記事「車イスで街を歩けば」は実体験した人のお話をもとに構成されており、子供たち一人ひとりが手助けできる課題探しの一助となりました。

 子供たちはアイマスクや車いすの体験をした後、公共性の高い市民会館や福祉施設、スーパーなどに備えられた音声ガイドシステム、障害者用トイレ、点字ブロックといった設備について、地域の実情を調べました。

 自分の足でその場に行き、自分の目で確かめ、それをまとめ上げたのです。

 子供たちには、情報に対して一方的に受け身の人間になってほしくない。情報の洪水の中にあっても、一つひとつの情報の善しあしを考え、選択して活用するとともに、自ら良質の情報を送り出す力を、新聞を通じてはぐくんでもらいたいと思っています。

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