*生活情報得る手段/生徒の自主性促す 旭川商業高等学校定時制 西原 美千代 先生

 夜間の定時制課程には、さまざまな事情を抱える生徒が在籍している。昼間働いて家計を助けている生徒。中学校時代に人間関係に傷ついたが、今は前向きに生きようとしている生徒。全日制の高校を退学したが、もう一度勉強して人生をやり直そうとしている生徒。同じ学年でも年齢層には幅がある。

 多くの生徒は、困難な状況の中、自分の仕事や生活で精いっぱいである。だからこそ生徒自身の生活に根ざした視点から、将来のことや社会の動き、自分の生き方についての思索を深め、年金や雇用保険の制度など、知らないと損をすることを知る手だてとして新聞の読み方を教えたいと思った。

 国語の授業では、人物欄やコラム欄を利用し、各界で活躍する人の夢や希望を実現するための努力、人間関係の築き方について生徒と一緒に考えた。作文ではもの足りず、みんなの前で自分の考えを述べる生徒もいた。

 ホームルーム活動では、いじめや障害者の問題、喫煙、十代の性意識、性感染症に関する記事を利用して指導した。

 今、二年生の保健の授業では、グループ単位で保健や健康に関する記事のスクラップ帳を作成している。「環境と健康」「臓器移植」「幼児虐待」「十七歳の犯罪心理」など、自分たちでテーマを決めて、意見をまとめている。ただ答えが与えられるのを待つのではなく、毎日の生活の中にあふれる情報から、必要な情報を選択し、自分の考えを構築してほしいという願いを込めた授業だ。

 最初は、どのページに保健や健康に関する記事があるのかさえ見当のつかない生徒もいたが、各紙を読み比べ、新聞社ごとにテーマの扱い方が違うことを知るなど、新聞を使った授業に面白さを感じはじめているようだ。

 困難に負けないで、毎日の生活の中から一人ひとりが生きる力を培い、社会へ大きく羽ばたいてほしいというのが、定時制に勤める教師の願いである。今後も新聞を活用して、生徒の糧となる授業を展開したいと考えている。

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