地域の環境に関心/古来の行事も学ぶ  釧路市立新陽小学校 浪岡 美保 先生

 勤務校ですすめてきた情報教育の研究で、新聞も大切な情報源の一つになると考え、おもに二つの学年でNIEを取り入れた実践を行いました。

 四年生は「わたしたちのくらしと水」という総合単元を設定し、一年間を通して各教科で学習したことをもとに、それぞれが課題を見つけて追究していくことにしました。浄水場や下水処理場の見学などで「水」について学習したことをきっかけに「自分たちにできることはなにか」という環境問題の課題を考えるのです。

 子どもたちは図書館の本や新聞から必要な情報を集め、見学で取材した材料や、デジタルカメラの画像も使って新聞にまとめていきました。できあがった作品はグループごとに全部で20点ほど。それを全員で北海道新聞社主催の「小学生新聞グランプリ」に応募し二点が佳作に入りました。

 水についての課題追究はさらに発展します。「自然破壊」や「地域開発」に関心を持ち、新聞記事をスクラップするようになった子どもたちは、昔、度重なる大洪水で住民を苦しめた旧釧路川が、いまも通水をめぐって課題を残しているなど、現在の釧路市やその周辺地域が抱える環境問題に気付きました。さらに市の中心産業である漁業とも関連させて、子どもたちなりの考えを持ち、話し合い、発表し合うことができたのです。いくつかのグループは今年もグランプリに応募しようと準備をすすめているようです。

 三年生の音楽の授業では日本古来の行事や音楽があることに気付き、興味を持つことをねらった学習に取り組みました。「お正月にはどんな行事があっただろう」と、元日からの新聞をめくることから始まり、お正月にはつきものの琴のしらべから和楽の存在を知り、琴や和太鼓の地元演奏家を招いて自分たちも鳴らしてみる体験をしました。英語指導助手(AET)の来校を機会に外国のお正月のようすを聞き、日本と比べることで国際理解への糸口にもなっていったようです。

 小学校低学年では、新聞を読み取ることの難しさも課題として残っています。それでも朝の会に「今日のニュース」のコーナーを設け、新聞の写真と見出しを見て、どんなことが書いてあるのか記事を想像した後、内容を読み取ったり、「漢字探し」といったゲーム的な要素を取り入れたワークシートを使ったりと、楽しみながら学習する工夫をすることで、新聞好きの子が確実に育っていることを実感しています。

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