タイムリーな活用/社会の動き身近に 旭川市立北星中学校 中山 洋 先生

 本校がNIE実践に参加した最大の理由は、何よりも子供たちの活字離れ、とりわけ新聞を読んでいない中学生の増加を危惧(きぐ)したからです。社会科を担当している私にとって、公民の授業などは新聞が最高の学習資料となるのですが、残念なことに新聞を読んでいない生徒のほうが圧倒的に多いのが実態でした。そうしたおり、NIEの存在を知り、学校全体で「子供の生活の中に新聞を!」を合言葉に実践に取り組むことになりました。

 実践一年目のねらいは、何よりも「新聞を身近なものに」です。生徒が一日の学校生活の中で必ず通るホールに「NIEコーナー」を設けたところ、その日のうちから登校したばかりの生徒や、昼休みの時間に友達とおしゃべりをしながら、また、放課後友達を待っている時間など一日中、新聞を広げる生徒の姿が見られるようになりました。

 授業でも新聞が活用されます。昨年十一月、内閣不信任案の採決をめぐって国会が大きく動いた時、一連の記事を教材に取り入れました。国会の仕組みや「三権分立」のありかたなどは、三年の公民ですでに学習を終えている単元でした。でも教科書で学んだ時には、実生活から遠いこととして、もうひとつ興味がなかったのが本当でしょう。だが今は学習したことが日々、現実の出来事として進行しているのです。生徒の反応はすこぶるよく、タイムリーに記事を活用できた授業になりました。

 同じころ、一年の国語科授業で環境問題を題材にグループごとの課題追究をしていました。森林伐採や二酸化炭素増による地球温暖化の問題、無害といわれていたフロンガスがオゾン層破壊の原因になっている−など新聞記事から得られる環境に関する情報は豊富です。なかでも、身近に存在するPCBについて新聞記事、図書館の本などで調べ学習を積み上げているとき、北広島市の中学校でPCB蛍光灯の破裂事故が起きたのです。いま学習しているテーマが社会の大きな話題になることは、その後の学習発表の内容に、より具体的な深みを与える効果があったのはもちろん、生徒たちは授業と実社会のつながりを実感し、学習内容を深めていったようです。

 この一年で、子供たちの生活の中に、徐々にではありますが新聞が広がりつつあることが感じられるようになってきています。今後は、校内的に「授業の中での新聞の活用法の研究」を一層進め、最終的には本校がすすめる総合的な学習「僕らが作る21世紀の旭川」のまとめとして、自らの考えや意見を新聞の投書欄や読者欄等を通して、提言できる生徒の育成に努めていきたいと思っています。

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