班活動でスクラップ/環境問題に焦点 帯広市立森の里小学校 森谷 栄介 先生

 教科書よりも新鮮で、身近な話題を手軽に取り入れることができる−。それが新聞の良さであり、私が授業の中で新聞を活用している大きな理由だ。

 この二年間、「足元からの実践で地球環境問題を考えよう」をテーマに、新聞を取り入れた学習を進めている。五年生の時から五学級がそれぞれ一紙を受け持って、スクラップ活動に取り組んだ。毎日、環境についての記事を切り抜き、画用紙に張って記事の内容のまとめと自分の感想を書く作業を、一週間交代の班活動で続けた。切り抜き記事は帰りの会で発表し、質問や感想を述べる時間も設けた。

 「ハイブリッドカー ヨーロッパに進出」という記事を目にしたとき、ちょうど社会科で自動車工業の学習をしていた。教科書でも、環境のことを考えた自動車としてハイブリッドカーが紹介されており、この新聞記事を活用しない手はないと思い、さっそく授業で取り上げた。

 小学五年生にとって、新聞記事は難しい漢字が並んで読みにくいものだ。最初は一言ずつ言葉をかみくだきながら、内容を説明していった。子どもたちは漢字に振り仮名を付けたり、語句の意味をメモしたりしながら、集中して聞いている。自分たちがいま、教科書で学んでいることが新聞に載っているのだから、興味を持つのは当然だろう。

 ひと通り中身を説明した後、欧州各国の環境への取り組みをまとめていく。欧州では、国の環境対策が日本より進んでおり、ハイブリッドカーに対しても、減税や奨励金制度などを設けている。アメリカでも売れ行きは好調だという。そのことに子どもたちは驚きながら、ハイブリッドカーの価値を認識していった。

 欧州各国のこうした対応の背景には、それだけ環境問題が深刻であり、国を挙げて取り組まなければならないという事情がある。学びを深めていくうちに、子どもたちもそのことに気づき始め、話し合いが活発になっていった。そして、「日本は果たして環境先進国といえるのだろうか」という課題が出てきたのである。

 この疑問は、まだ子どもたちの中では解決されていない。これから時間をかけて、じっくりと調べさせていく計画を立てている。調べる手がかりとして百科事典や資料集だけでなく、新聞も活用していく。それには子どもたちが二年がかりで切り抜き、集めてきたスクラップが大きな力になるのは間違いない。

 六年生になった子たちの読み取りの力は格段に伸び、難しい記事でも何を伝えようとしているのかを的確にまとめることができるようになってきた。その成果は十勝新聞教育研究会主催の「第四回全十勝小中学生新聞スクラップコンクール」で、最優秀賞をはじめいくつもの賞に入選するという形でも表れている。新聞を情報源に活用する子どもたちの活動が楽しみだ。

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